和室のリニューアル

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[エッセイ 206](新作)
和室のリニューアル
 
 朝目覚めてみると、足腰が重く疲れがかなり溜まっていることに気がついた。襖と障子、大小19枚・21面を4日がかりで張り替えたためだ。
 
 わが家は、築26年になる。その間こまめにメンテナンスをしてきたが、屋根だけは手つかずになっていた。雨漏りがしているわけではないが、色が褪せ見栄えもだんだん悪くなってきたので、思い切って葺き替えることにした。

 屋根の葺き替えに続いて、近所の塗装屋に外回りの塗り替えを頼んだ。その親方に、客間として使っている和室の、白木部分のアク抜きができないか相談してみた。その塗装屋は、赤茶けてシミまで浮んでいた柱や框を、3人がかりで半日以上かけてきれいに蘇らせてくれた。

 白木の部分がきれいになってみると、今度は壁が気になりだした。かなり黒ずんでいる。カビやシミのようなものも見てとれる。その塗装屋は、腕のいい仲間の左官を紹介するという。

 数日後、左官の手にかかったその部屋は一段と明るくなった。こうなってみると、やはり襖と障子の黒ずみが気になる。障子は自分で張り替えるとしても、さすがに襖は自信がなかった。襖屋も、例の塗装屋に紹介してもうことにした。

 考えてみると、普段いろんな使い方をしている二階の和室の方が、襖の傷みが激しいことに気がついた。襖屋はなかなか来てくれないので、二階は自分たちで張り替えてみることにした。自信がまったくなかったわけではない。以前住んだことのある公団住宅で、実際に自分で張り替えたことがあったのだ。

 ホームセンターには、襖紙の張り方について工夫されたものが何種類も並べられていた。私たちは、紙の裏が粘着テープのようになったものを選んだ。糊付けの手間が省けて簡単なうえ、結果も期待以上のものに仕上がった。

 その翌朝、襖屋がやってきた。客間の大切な4枚の襖はその日のうちに納められた。さすがプロ、自分で苦労しただけにその腕の確かさが実感できた。一方の障子は、もちろん自分たちで全部手掛けた。2部屋分、大8枚と小4枚を2日がかりで張り終えた。2部屋とも、新築当時に劣らぬ明るさを取り戻した。

 和室は、素材や施工の状態がそのまま表面に現れるため、リニューアルはかなり難しいのではないかと考えていた。しかし、それは素人の余計な心配でしかなかった。おまけに、個々の専門業者に直接発注したので、費用も総合リフォーム業者の数分の一で済んだ。

 新装なったお気に入りの和室だが、畳だけは手つかずのままである。年代ものの畳にだってそれなりの味わいがあるためだ。女房ともども、これからも大切にしていくつもりである。
(2008年5月2日)