通学

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[風を感じ、ときを想う日記](161)4/27
通学

 どうせ2~3人しか乗っていないだろうと思っていたら、見慣れない制服の女子高生で座席は満杯になっていた。午前8時過ぎ、上京のために近所のバス停から乗った上り私鉄バスの車内の様子である。
 
 4月中旬、同期会への参加をかねて、母を見舞うために帰省した。1週間ぶりに自宅に戻ろうとしたところ、車内の様子が前回までとはまるで違うのに驚かされてしまった。彼女たちの大半は乗り換え拠点で降りた。反対車線には、再編統合された母校の通学バスが待機していた。

 そういえば、車内には男子生徒の姿は見えなかった。おそらく、彼らは自転車で通学しているのであろう。自転車通学といえば、私も2年前の早春、半世紀前と同じルートを自転車で6往復した。当時、母校の海側を埋め立てて建てられた町立病院に母が入院していたためである。

 このときすでに、実家と母校を結ぶバスの便は壊滅状態に近かった。やむをえず、「昔とった杵柄」に挑戦したわけである。3日も通えば慣れるだろうと高を括っていたら、4日目は休養日にあてざるをえなかった。それにしても、立派になった通学ルートで、自転車に乗る人など誰にも出会うことはなかった。

 セーラー服でむせかえる国鉄バス、黒い詰襟の自転車の群、もうあの賑わいを見ることはないのだろうか。
(高校・東京同窓会機関紙投稿原稿-地名などは一般呼称に変更)