黒、そして黒

イメージ 1

[風を感じ、ときを想う日記](150)3/22
黒、そして黒

 千代大海の、右ノドワが白鵬の動きを止めた。次の瞬間、千代大海は思い切って左にひらいた。白鵬は前につんのめり、勢いあまって土俵の外に飛び出した。私の大嫌いな引き技であるが、これほどきれいにきまると鮮やかとしかいいようがない。

 千代大海は勝ち越しを決め、またもカド番を脱出した。場内の緊張感も一気に緩み、和やかな雰囲気に変わった。これで、朝青龍と白鳳の星の差は二つとなり、早くも優勝の行方は決まったかに見えた。

 しかし、土俵にはさらに大きなドラマが待っていた。最後の一番、朝青龍琴奨菊の立会いはほぼ互角であった。琴奨菊が出た、寄った。受けにまわった朝青龍はずるずるとさがった。琴奨菊ががぶった。朝青龍はあっけなく土俵を割った。彼の顔にはテレ笑いが残った。

 琴奨菊の、真正面からの堂々の勝利である。最後の二番、横綱の黒星が重なった。偶然が重なったのか、連鎖反応だったのか。白鵬の負けが、朝青龍の中に微妙な変化を起こしたことだけは間違いないようだ。

 大阪場所12日目、この日、お天気は全国的に大きく崩れた。気圧が下がり、そのために横綱のテンションも低下してしまったのかもしれない。15日間、集中力を維持しつづけるのは容易なことではないようだ。