十五夜お月さん

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[風を感じ、ときを想う日記](117)9/26
十五夜お月さん

 何年かぶりで名月を観たおもいがする。月を遮るような雲のかけらも、煙やチリさえも見当たらない。月の背後には深い漆黒の世界が広がり、中秋の名月をさらに際立たせてみせた。

 あまりの美しさに、カメラを持ち出し夢中でシャッターを切った。しかし、部屋に戻り、モニターを見てがっかりした。どの写真も、暗闇の中にポツンと一つ明かりが点っているようにしか見えない。

 鋭角的な山のシルエットとその上に浮ぶ丸い月、たなびくような雲とその向こうから顔を出す満月、池に映る黒い松の影と青い月の光。やはり名月には引き立て役が必要なようだ。ススキなど、自他ともに認める名脇役である。

 うかつにも、昨夜の名月を見逃した人がいたら、今夜はぜひがんばってもらいたい。昔の人は、今宵の月を十六夜(いざよい)といって特別に愛でたそうだから、まだ十分期待がもてるはずである。

 ところで、先日打ち上げられた月探査衛星「かぐや」は、いまごろどの辺りを飛んでいるのだろう。月誕生の謎の解明を目指すということだが、かぐや姫とウサギたちへのプレゼントくらいは持って行ってほしかった。