ノウゼンカズラ

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[風を感じ、ときを想う日記](99)6/24
ノウゼンカズラ

 ここ数日、豆腐屋のラッパを連想させるような橙色の大きな花が、あちこちで見られるようになった。ノウゼンカズラである。周りの緑にもよく映え、その鮮やかな橙をいっそう引き立てて見せる。橙と緑のコントラストは、つい最近まで楽しませてくれたザクロの花にも似ている。

 ノウゼンカズラは中国原産の落葉つる性の木で、日本へは平安時代に入ってきた。漢字では凌霄花と書く。高い霄(空)を凌ぐ花というような意味らしい。幹は藤の木に似ていて、気根を出して他の木などに絡みつき上へ上へと高く伸びていく。

 この花には毒があるそうだ。花粉が目に入ると失明するかもしれないという。樹液に触れると皮膚炎を起こすおそれがあるともいう。貝原益軒の「花譜」という本にそのようなことが書かれているそうだ。

 この花が、夏になると突然現れたように見えるのは、落葉性で普段は常緑樹の葉っぱの陰などに隠れているためであろう。それにしても、味けない石垣やコンクリートの塀がこのようなきれいな花で覆われるのは悪い話ではない。

 この花、例年なら真夏に咲くはずだが、今年はちょっと早いのではなかろうか。夾竹桃サルスベリくらいしかない夏には貴重な花である。