ロウバイ

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[風を感じ、ときを想う日記](64)1/17
ロウバイ

 朝から10日ぶりの雨となった。

 1月17日は、あの阪神淡路大震災にあった日である。あれからまる12年、犠牲者の多くの方が十三回忌を迎えられた。雨の中、各地で追悼の行事が行われている。神戸の雨は、あいにくの涙雨となってしまった。

 100年くらい前のこの夜、熱海の海岸では貫一とお宮が散歩中にもめていた。あの、尾崎紅葉原作の「金色夜叉」の一番有名な場面である。その日は満月ということになっていたが、今日の熱海は雨になってしまった。もっとも、晴れていたとしても、暦では、今日の月の出は午前5時17分、それも月齢は27、5と闇夜のはずである。

 最近、各地でロウバイの開花が話題になっている。その淡い黄色が、寒空に暖かさをもたらす救いとなっている。真冬に咲く数少ない花だけに、どこでも大切に育まれているようだ。

 しかし、「蝋」と名づけられているだけのことはあって、せっかく暖かい色なのにどこか無表情に見えてしまう。蝋細工か、仮面を被った花にしか見えない。わずかでも微笑んでくれたらと思うのは私だけだろうか。