春間近かの花

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[風を感じ、ときを想う日記](945)2/1

春間近かの花


 年が改まるころ、立木に花をつけているのはサザンカくらいだ。そして、新年早々にも咲き出すのが、その本家筋に当たるツバキである。しかし、せっかく赤く咲いても、なぜか華やかさに欠けている。寒空が重くのしかかっているためだろうか、それとも、色濃い緑の葉っぱがそれらを邪魔しているためだろうか。


 その点、これから旬を迎えようとしているウメたちには、早春に相応しい明るい雰囲気が備わっている。ツバキのような常緑樹ではなく、花咲かじいさんの一幕のように、枯れ枝に一気に花をつけるためかもしれない。邪魔な葉っぱは一枚も見当たらない。裸の枝に付いているのは花々々のオンパレードである。


 白、ピンク、赤そして黄色。エッ、黄色?そう、蝋梅と呼ばれる黄色い花も、ほぼ同じ時期に花をつける。明るい色なので、一見華やかそうだが、この花はどこか無表情で冷たささえ感じさせる。花びらの表面が艶々と透きとおり、まるで蝋細工のように見えるためかもしれない。


 この花、ウメの遠縁には当たっていても、親戚とまではとても呼べそうにない。正確には、クスノキロウバイロウバイ科に属するそうで、バラ目バラ属バラ科のウメとは別の種類のようだ。たしかに、幹の木肌を見ると、ウメとの違いがはっきりと理解できる。所属や色はともかく、寒さの厳しいこの時期に、春間近かを思わせる花は大変貴重な存在である。