ジイちゃんの星

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[風を感じ、ときを想う日記](51)11/13
ジイちゃんの星

 もう35年も前になる。
 女子プロゴルファーにアマチュアの男子が挑戦するテレビ番組があった。詳しいルールは忘れたが、メンバーは双方2名ずつの団体戦であった。女子の2人は、当時のトッププレーヤー、樋口久子、中村悦子の両プロであった。プロがあまりにも強かったせいか、あるいはテレビカメラの前でのプレッシャーのためか、それまでアマチュアは一度も勝ったことがなかった。

 ある日、親子のチームが登場した。父は群馬県でゴルフの練習場を経営しているという。息子はまだ高校2年生だった。そのスリムな男の子が、クロスバンカーから2番アイアンで見事に2オンさせた。息子の活躍によって、アマチュアチームは初めてプロに勝つことができた。

 成人した彼は、AON(青木、尾崎、中嶋)の一角を占め、プロゴルフの隆盛に貢献した。

 その中嶋常幸が、昨日、4年ぶりにビッグトーナメント「三井住友VISA太平洋マスターズ」で見事な勝利を挙げた。レギュラーツアーに勝利したのは4年ぶり、このトーナメントの優勝賞金は3千万円であった。

 あれから35年、彼はすでに52歳になっていた。高齢でのレギュラーツアー優勝は、尾崎将司の55歳、杉原輝雄の53歳に次いで史上3番目だそうだ。

 彼の勝利は決して偶然ではない。シニアの領域に達した近年、トレーニングには従来以上に励んでいるという。この4日間のドライバーの飛距離は平均292ヤードに達し、参戦者中9位にランクされるという。昨日は、首位から6打差、10位からのスタートでの大逆転優勝であった。

 当時の彼等父子は、その親子関係と練習の厳しさから、ゴルフ界の「巨人の星」に例えられたこともある。いまや中年の星、いや、彼にはすでに孫がいるので「ジイちゃんの星」である。