ニューヨーク・普通の生活の日記⑮(6/7)「オペラ・ハウス」

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[エッセイ 135](新作)
ニューヨーク・普通の生活の日記⑮(6/7)「オペラ・ハウス」

 12時の鐘が鳴り出したとたん、その美しい娘は慌てて走り去っていった。あとには、ガラスの靴が片方だけ残されていた。すっかりその娘のとりこになった王子は、靴の持ち主を求めて国中を探し廻る。

 ご存知「シンデレラ(Cinderella)」がバレーで演じられた。場所は、メトロポリタン・オペラ・ハウス(Metropolitan Opera House)、開演は私たちにとって大変貴重な水曜日午後2時からであった。演じるのは、アメリカン・バレー・シアター(American Ballet Theatre)というバレー団である。

 メトロポリタン・オペラ・ハウスは、子息がカーネギーホールのほかにもう1箇所、どうしても案内しておきたいというおすすめのオペラ劇場である。エイブリー・フィッシャー・ホール(ニューヨーク・フィルハーモニー・オーケストラの本拠地)、ニューヨーク州立劇場(ニューヨーク・シティバレー団本拠地)とともに、リンカーン・センター(Lincoln Center)というニューヨークを代表する総合芸術センターの中にある。

 今回も、出し物よりまず劇場ありきであった。しかし、オペラもクラッシック音樂同様オフシーズンである。あるいは子供向けかもしれないと心配しつつ出向いてみると、内容は老若男女誰でも楽しめる本格的なバレーであった。

 王子が娘を探してかけ廻るシーンでは、蛇の目をさした和服の美人まで登場させるサービスぶりであった。外は、久しぶりの雨となったが、足元を気にしながらも息子のすすめに従って出向いてきただけの価値は十分にあった。

 そういえば、街を歩いていて極端に肥っている人をたくさん見かける。ヨーロッパやアフリカ系の人に多いようだ。一方、背の高さもバラエティに富んでいる。小柄なのは、アジア、中南米系の人が多い。

 アメリカはよく人種のるつぼといわれるが、体形のるつぼでもある。これでは、衣料品店は品揃えが大変である。デパートの衣料品売り場に、同じような柄とデザインの服がたくさん並んでいたのはそのためのようである。

 午前中は、例によってお嫁さんの案内でこれまでとは別の「Shop Rite」というスーパーを覗いてみた。日本人の間ではあまり評判のよくないお店だそうだが、売り場はゆったりとして品揃えは豊富である。ただ、レジの応対はなるほど無愛想で商品も客も同じ程度に扱われていた。

 想いおこせば、日本だって最初のころはそうだった。それがいつの間にか、売り場はきれいに飾られ、商品は細かくていねいに包装され、レジでは深々とお辞儀をされる。なにからなにまで、すっかりデパートのお株を奪ってしまったようだ。

[写真、上はメトロポリタン・オペラ・ハウスの外観
     -その右に少しだけ見えるのがエイブリー・フィッシャー・ホール。
    下はオペラハウスの内部-前方から後方を見たところ]