ニューヨーク・普通の生活の日記⑤(5/28)「アカデミック・ボストン」

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[エッセイ 125](新作)
ニューヨーク・普通の生活の日記⑤「アカデミック・ボストン」

 ボストンといえばボストン交響楽団、そして小沢征爾氏を連想する。小沢氏は、1973年から2002年まで、30年近くも同交響楽団音楽監督をつとめた世界的な名指揮者である。同氏は、ボストンをそしてクラシック音楽を、日本人の身近な存在にしてくれた功労者でもある。

 ボストンには、いまひとつ有名大学の存在がある。ハーバード大学(Harvard University)とマサチューセッツ工科大学(MIT)は日本人にもおなじみの名前である。ボストンの2日目は、それらが集中しているケンブリッジ(Cambridge)地区を訪れた。

 ハーバード大学は、1636年に創立されたアメリカ最古の大学である。当初は、清教徒の精神を伝承できる優秀な牧師を養成するためのカレッジであったとか。ジョン・ハーバードという牧師が、遺産の一部と300冊の蔵書を寄贈したことからその名前がつけられたという。

 キャンパス内には同牧師の銅像が建てられており、観光客にとって記念撮影の格好のポイントになっている。そういえば、帰途立ち寄ったマサチューセッツ工科大学脇のチャールズ川(Charles River)も、その河畔から遠望されるダウンタウンの光景を見事に演出していた。

 昼食を兼ねて訪れたボストン美術館(Museum of Fine Arts Boston)は、日曜日ということもあって結構な込み具合であった。ルーブル美術館(パリ)、エルミタージュ美術館(サンクト・ペテルブルグ)、メトロポリタン美術館(NY)などと並ぶ世界有数の美術館だそうだから当然といえば当然であろう。

 ミレー、モネ、セザンヌゴーギャンルノアール、そしてゴッホと、私たちの世代に親しみやすい、印象派の作品が数多く展示されているのが嬉しかった。この美術館は、浮世絵を中心とした日本の美術品が充実していることでも知られているが、それらしき作品はほとんど見当たらなかった。おそらく、展示ローテーションの谷間に入っていたためであろう。

 私たちは、この2日間ボストン郊外のモーテルに宿をとった。もとより、日本のようないかがわしい場所ではない。部屋に入ると、キッチンのついた大きなリビングルームがあった。寝室はその両側に1つずつ、洗面所とバスのついた立派な空間が用意されていた。車の、それも2世帯の旅行者にとってはうってつけのくつろぎの場であった。もちろん、料金は市内に比べて格段に安い。

 今日は、ナーサリースクールの幼児2人と一緒だったのに、想像以上にアカデミックでインテリジェントな一日となった。このうえボストン交響楽団のコンサートを聞いていたら、頭が少々おかしくなっていたかもしれない。

[写真、上はチャールズ川河畔から望むボストン・ダウンタウン
    下はハーバード大学構内]