ニューヨーク・普通の生活の日記③(5/26)「MoMA」

イメージ 1

[エッセイ 123](新作)
ニューヨーク・普通の生活の日記③(5/26)「MoMA

 朝食のとき、お嫁さんからアウトレットモールへの誘いがあった。最近、ニューヨーク郊外にも巨大モールがオープンしたという。さいわい、孫娘たちのナーサリースクールはお休みの日にあたるので午前中から案内できるという。

 洋の東西を問わず、女性はブランド品がお好きなようだ。5年前、5番街のブランド品店をハシゴしたが、このときはセンチュリー21の買い物袋を下げていたためかまったく相手にされなかった。日本では、数年前に御殿場の小田急ファミリーランドの跡にできたモールをひやかしてみたこともあった。

 新しくできたモール「Woodbury Common Premium Outlets」は、高速道路を小一時間走った山の中にあった。御殿場と同じ系列だそうだが、規模はその数倍はあるという。観光バスでも大挙して押しかけてくるそうだ。

 半日は遊ぶつもりでやって来たが、途中からシャワーのような雨が降り出し移動が思うようにできなくなった。お嫁さんと家内は、最初に入った「Coach」の店で欲しいものを手に入れていたのでこれ以上の長居は無用であった。

 今日金曜日は、夕方4時以降に限ってニューヨーク近代美術館(The Museum of Modern Art、通称:MoMA)の入場料がタダになるという。5年前に来たとき、メトロポリタン美術館(Metropolitan Museum of Art)を訪れ大きな感動を持ち帰っていたので、今回はそれほど前向きな気持ちにはなれなかった。しかし、こちらは大規模な改装がなったばかりであり、タダという二文字にもひかれて結局足を運ぶことにした。

 近代の文字が示すとおり、ここには絵画も彫刻も抽象的な表現のものが多い。シタリ顔で鑑賞して廻ったが、はやい話、古い人間にはよくわからないということである。印象に残った作品を聞かれれば、案内パンフレットに出ている写真を指差すのが精一杯である。

 ところで、今日も出てくるとき乗ったメトロ・ノース鉄道であるが、車両の大きさや座席の配列は新幹線なみである。ダイヤの間隔はまばらであるが、ラッシュ時には15両以上連結しており、ゆとりをもって全員が座れる。

 この鉄道には改札口はない。券売機はホームにあり、事前に切符を買って乗る。もちろんクレジットカードも使える。2、3両おきに車掌が乗っており駅を出るとすぐ検札に来る。検札が終わるとシートの背もたれに小さなカードを挟んでいく。ちなみに、無賃乗車の罰金は目が飛び出るほど高いそうだ。

 約束の時間にMoMAから出てみると、勤め帰りの息子が出口で待っていてくれた。コリアタウンでチゲ鍋をご馳走してくれるという。スパイスの効いた隣国の料理は、やっと薄れかけてきた時差ぼけを一気に吹き飛ばしてくれた。

[写真はニューヨーク・マンハッタン・タイムズスクェア-7番街とブロードウェーの交差地点]