ニューヨーク ・普通の生活の日記①(5/24)「出発」

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[エッセイ 121](新作)
ニューヨーク・普通の生活の日記 ①(5/24)「出発」

 たしか、28年前の4月下旬だったと思う。私が仙台に転勤して2年が過ぎていた。その仙台に、両親が郷里からはるばる訪ねてきてくれた。私たち家族4人は大喜びし、大歓迎した。

 2日後、私は休暇をとって、両親を岩手県の平泉と宮城県北部の鬼首(おにこうべ)などの名所に案内した。父は、雪と桜が同時に見られたと、ことのほか喜んでくれた。その日は、こけしで有名な鳴子温泉に宿をとり、久しぶりに3人で川の字になって寝た。

 この5月下旬、一世代下り、立場を替えて同じ喜びを味わうことになった。私の息子は、3年半前にニューヨークに転勤となったが、やっと地に足をつけて活躍できる段階に入った。この辺で一度、陣中見舞いをかねて孫の顔を見に行くのも悪くないと思える時期である。

 私自身、たとえ短期間でも海外で生活してみたいと思っていたので、家内ともども思い切って出かけることにした。期間は1ヵ月間を考えていたが、諸々の事情を考慮して足かけ18日間で予定を組むことにした。

 ここ何回か、成田までの足は自分の車を使っている。電車を何回も乗り継ぐより、その方が簡単で早く安上がりのためである。今回は、日数が長いので電車にするつもりでいたが、結果的には1万円弱で信用のおける駐車場に預けることができた。多少汚くはなっていたが、洗車代くらいは十分元がとれた。

 海外での支払は、できるだけクレジットカードを利用するようにしている。スキミングなどのリスクもないわけではないが、総合的には安直で安全であり、なんといっても交換レートの面で有利だからである。

 一方、現金の両替は少額だけ成田で行うようにしている。今回出発するときは、3万円を1ドルあたり115、27円で買うことができた。マイアミに行くとき、ニューヨークの空港で1万円ほど両替したが、この時は1ドルを134、44円で買わされた。支払はクレジットカードが、両替は成田が圧倒的に有利である。

 成田を発って12時間、私たちはニューヨークのジョン・エフ・ケネディJFK)空港に降り立った。税関の外には、息子のお嫁さんと孫娘2人が首を長くして待っていてくれた。久しぶりの再会は、いつにもまして感動的であった。

 息子たちのマンションは、日本人も多く住むタカホ(Tuckahoe)という閑静な住宅街にあった。マンハッタン(Manhattan)のグランドセントラル駅(Grand Central Terminal)から中距離電車(Metro North Railroad・Harlem line)で北へ約40分のところにある。ニューヨークは2度目であるが、明日からは、海外での「普通の生活」が始まる。

[写真はニューヨーク・マンハッタンの市街(6番街)]