海外勤務からの帰国

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[エッセー 237](新作)
海外勤務からの帰国

 わが家が一気ににぎやかになった。普段は大人2人と犬1匹の静かな生活である。そこに新たに4人が加わった。人間も犬も、少々戸惑い気味である。

 ニューヨークで勤務していた息子の家族が、6年5ヵ月ぶりに帰国した。これからは都内の社宅に住むという。ただ、実際に住めるようになるまでには少し時間がかかるようだ。

 国内の転勤なら、業者が家財道具一式をそっくり次の住まいまで運んでくれる。移動距離が500キロや1000キロあっても、たいてい翌日には新居に住むことができる。ところが今回のケースでは、そう簡単にはいかないようだ。

 最初にやらなければならないのは住民登録である。しかし、前居住地からの転出届は当然所持していない。役所との間で多少の悶着はあったが、住基ネットという確認手段のおかげでなんとか手続きができたという。失効中の運転免許証も、新しい住民票が取れたので同じような経緯をたどりながらも即日交付が受けられたという。この二つが揃ったので、携帯電話も新規に購入できた。

 日本を出るとき、大事なものはコンテナに入れて倉庫業者に委託しておいたが、大型家具や家電品などはあらかた処分した。愛車ももちろん捨て値で売却した。今回、ニューヨークから帰るときも、向こうで揃えた大型のものは車も含めあらかた処分した。

 持ち帰られたのは、衣類や書籍など身の回り品に限られ、それを急ぎの度合いに合わせて三つの方法で発送したそうだ。すぐにも必要なものは、帰国のとき手荷物として同じ便に積み込んだ。多少時間に余裕のあるものは航空貨物便で送りだした。そして冬物衣料など当分使わないものは船便にした。そんなことから、彼らが日本に帰っても、生活に必要な家財道具はないに等しい。

 今回、彼らがすぐにも買い揃えなければならないのは、テレビ、冷蔵庫、ガスコンロ、洗濯機、掃除機、電気釜、それにトースターなどである。そして一段落したら、パソコン、ビデオ・DVDデッキ、それに車も購入したいと思っているはずである。会社から補助もあるようだが、大がかりな持ち出しになることは避けられすにない。

 食器類に加え、エアコンとファックス・電話機、それに布団は倉庫業者に預けてあったという。しかし、いずれも6年以上も経過していることから、使用にあたってはきちんとしたチェックが必要である。

 転勤は、会社はもとより本人の成長にとっても大きなプラスとなるはずである。しかし、それが海外となると、帰国子女の対策も含め課題は多岐にわたっているようだ。
(2009年4月1日)