ニューヨークこぼれ話(6)「ロウアー・マンハッタン」

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[エッセイ 143](新作)
ニューヨークこぼれ話(6)「ロウアー・マンハッタン」

 ニューヨークを代表する風景といえば、ブルックリン橋の袂からイースト川越しに見るロウアー・マンハッタンの摩天楼群、そして海に浮ぶ巨大なブロンズ像、自由の女神である。今回は、ダウンタウンを飛び越えて一気にロウアー・マンハッタン、それも南端のウォーターフロントを訪れてみることにした。

 マンハッタンの摩天楼群は、イースト川とブルックリン橋を脇役におくとき一段と輝いて見える。画面の右端に橋を添えた構図が一番安定しているが、その上流側に立ち、橋桁の下から覗きこむアングルも捨てたものではない。

 ブルックリン橋は、その周辺に多くの注目が集まるが、橋そのものも必見の価値がある。この橋は、14年の歳月をかけて1883年に完成したアメリカでも最も古い吊り橋の一つである。長さは1,834メートル、1903年に上流のウイリアムスバーグ橋が完成するまでは世界最長であった。2層構造になっており、上層は自転車も走れる歩道、下層は片側3車線の車道になっている。

 私たちは、時間の関係でここだけはタクシー(イエローキャブ)を使ったが、もし余裕があるなら橋上ウォーキングがおすすめだそうだ。A、C路線のHigh Street-Brooklyn Bridge St.あるいは2、3路線のClark St.を降りて橋の袂に向かい、歩行者専用の入口から約30分でマンハッタン側に着くという。

 世界遺産-歴史的・文化的建造物、自由の女神は、ニューヨーク湾のリバティ島という小さな島に建てられたブロンズ像である。1886年、アメリカの独立と米仏両国の友好を記念してフランスから贈られたものである。

 左手に1776年7月4日の日付の入った独立宣言を抱え、右手でたいまつを掲げた姿は、アメリカの自由の象徴である。女神の像の高さは46メートル、海面からたいまつの先端までは約92メートルある。

 マンハッタンの南端にバッテリー公園という小さな公園がある。そこにリバティ島行きのフェリー乗り場があり、島までは約15分で着く。料金は、フェリー往復と自由の女神、それに途中立ち寄るエリス島移民博物館の見学料金がセットで、大人10ドル、62歳以上のシニアは8ドルである。

 フェリーが島に近づくにつれ、女神の像がだんだん大きくなり、見る角度も少しずつ変化してくる。上陸してみて、その巨大さにあらためて感嘆の声をあげる。桟橋の反対側にまわってみると、ロウア-・マンハッタンの摩天楼群が逆光にかすんで遠望できる。私たちの見た風景では、空の大きな部分をツインタワーが占めていたが、いまはその影すら見ることはできないはずだ。

 9、11以降、この島のセキュリティチェックはことのほか厳しくなったという。名実ともに、一日も早く自由がくることを願わずにはいられない。
(2006年8月25日)