[風を感じ、ときを想う日記](1231)1/23
落葉樹に咲く早春の花
紅葉が終ってからというもの、頭上の空間は大きく開けてはきたものの、枯れ枝ばかりでただただ寒々しいばかりだ。それが、年が明けてからは、次からつぎへと色づきはじめてきた。最初は、赤や白の小さな点の集まりだった。それが、日々存在感を増し、最近では華やかな大きな塊へと進化してきた。
そうした紅や薄桃色のかたまりは、お正月の頃にはまだ散在する程度だった。そのうち、白い大きなかたまりも加わってさらに賑やかになってきた。この時期のこれらの花は、紅も白も薄桃色ももちろん梅の花である。興味を引くのは、これらの仲間に薄桃色の十月桜が仲間入りしようとしていることである。もちろん、散在という程度で存在感を示すところまでには至っていない。
そして、最近では黄色い塊も散見されるようになってきた。蝋梅(ロウバイ)と呼ばれるウメによく似た花である。その花びらが蝋細工のようだとしてそう呼ばれるようになった。ただ、ウメや十月ザクラがバラ科サクラ属であるのに対し、ロウバイはクスノキの仲間でその呼び名とはまったく別の種類である。
この時期、サザンカやツバキなど木に咲く花は他にもあるが、いずれも葉っぱが茂り、花はその陰に隠れていていたって地味である。劇的な開花と華やかさにおいてウメたちとは天と地ほどの開きがある。やはり、裸の枝にまとまって花を付ける落葉樹の早春の花は、私たちに大きな希望と強い勇気を与えてくれる。