生け垣の花の棄却処分


[風を感じ、ときを想う日記](1232)1/29

生け垣の花の棄却処分

 

 わが家の生け垣に咲く赤いサザンカの花はどうやら峠を過ぎたようだ。開花から1カ月以上が過ぎ、花たちにもさすがに疲れが出てきたのだろう。華やかで美しかったそれらの花は、色あせ醜ささえ感じさせるようになってきた。こんなに長い間咲き続ければ、どんな花だって限界を迎えるのは当り前である。

 

 そこに深刻なダメージを与えたのが一週間前の大雨である。強い風雨にたたき落とされた花びらは、足下に無造作に散らばり、街路などあたり一面を汚した。木に残った花びらも、その多くは茎から離れ葉っぱにへばりついているだけだった。色あせ、散り損ねた花びらには嫌悪感さえ覚えさせられてしまう。

 

 枝や葉っぱの水滴が乾くのを待って、そこにしがみついている花びらを揺すって落とした。残っているものも、見切り時と判断されるものは容赦なく摘み取った。しかし、ピークを過ぎた花たちは落花にも加速がついてきたようだ。一日おき、場合によっては毎日、その足下を掃除しなければならなくなった。

 

 どうやらその時がやって来たようだ。お天気がよく、比較的温かい日を選んで、花びらを全部もぎ取ることにした。脚立を持ち出し、垣根のてっぺんから順次もぎ取っていった。花びらはもちろんつぼみも例外なしである。

 

 かくして、家を囲っていた花々はすべてなくなった。いまは、あのつややかな葉っぱの生け垣が、わが家を静かに護ってくれているだけである。