梅の収穫とウメジャム作り

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[エッセイ 593]

梅の収穫とウメジャム作り

 

 庭にある豊後ウメの実を収穫した。花が終わって実がつき始めたころ、今年もあまり期待しない方がよさそうだという様子だった。なにしろ、そこに植えられてから40年が経つ。樹齢は分からないが、その時すでに相当の大木になっていたのだから、いまでは立派な高齢の域に達しているはずである。収穫量においても、最盛期を大きく過ぎているにちがいない。

 

 ところが、実が大きくなり色がつきはじめると、それなりの量が見込めるのではないかと淡い期待がもてるようになってきた。“クラスター”というにはおこがましいが、鈴なりに近い枝がいくつか見られるようになった。近年、収穫量が期待値に達したことは一度もなかったが、この分だとわが家で消費するくらいの量は確保できるかもしれない。

 

 この週末、その梅の収穫に取りかかった。梯子を持ち出し、木に登って手の届くところから順に、上へうえへともぎ取っていった。木を揺すったり、竿でたたき落としたりする方法も知らないわけではない。しかし、せっかく立派に育ってくれた実である。ていねいに、一つひとつ素手で取り入れることにした。もちろん、どうしても手の届かないところは竿の力を借りることにした。

 

 収穫した実をハカリに乗せてみたら、11キロちょっとあった。これから先は家内の担当となるが、パートナーの立場で中継すると次のようになる。色のついている成熟度の高い7キロは梅ジャムに、青い方の半分にあたる2キロは梅サワーに、そして残り2キロは梅酒にすることにした。そのための事前準備、とくに砂糖や酢あるいは焼酎は、セールなどを利用して順次購入しておいた。

 

 まず、黄色く色づいた7キロは、よく洗ったうえでしっかりと茹でる。ゆであがったら、裏ごしをして種や不純物を取り除く。それに、砂糖3.5キロと塩をちょっぴり加えて煮込む。ゆっくりと冷ませばできあがりである。大鍋を3つ動員しての作業だったが、これで10キロ近い梅ジャムの完成である。これからは、朝食にいただくヨーグルトの引き立て役として活躍してもらうことになる。

 

 青い方の2キロは、1.6リットルの酢と1キロの砂糖を加えて寝かせた。もう一方の青い2キロは、1.8リットルのホワイトリカーと800グラムの氷砂糖を加えて同じように冷蔵庫に寝かせた。数カ月もすれば、前者は梅サワーとして、後者は梅酒としてわが家のティータイムやサパーを彩ることになる。

 

 今年は、梅は豊年に当たるようだが、店頭価額はそれなりの水準にある。家庭での梅酒造りが、退屈しのぎに挑戦できる手頃なゲームのような存在となり、巣ごもり特需となって青梅の売れ行きを支えているのかもしれない。いずれにしても、その成果は楽しい食卓へと大きく広がっていく。

                       (2021年6月6日 藤原吉弘)