ヨーグルト

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[エッセイ 589]

ヨーグルト

 

 日々の朝食は、一年のうち360日は洋風の食事である。残り5日のうちの3日は正月三が日のお雑煮、あとの2日はゴートゥートラベルに出かけたときの旅館の和食である。その一年の大半を占める洋食の内訳は、トースト1枚、牛乳250cc、ヨーグルト100g、それに季節にあわせた野菜または果物が加わる。健康食のつもりでもう何十年も続けているが、以来胃腸の調子は上々である。

 

 そのメニューの一端を担うヨーグルトは、乳業大手3社から発売されているものの中から、そのとき一番都合のいいものを選ぶ。例えば、いまY社が“ありがとう15周年”というキャンペーンをやっており、プラス50gの商品を特価販売しているのでそれにターゲットを絞るといった具合である。通常は、そうして選んだヨーグルトに季節のジャムを加えていただいている。

 

 かつては、Y社以外の2社は450g入りの容器で販売していた。しかし、あるときから値上げの代わりに容量を400gに減らしていまでは横並びになっている。これら3社の商品にはそれぞれ特徴があり、食感も味も微妙に異なっている。今回の、Y社のようなメーカー自身の販売促進キャンペーンは珍しいが、各スーパーではどこかが目玉商品として取り上げており当方にとって不自由はない。

 

 ここで、ヨーグルトの定義を確認しておこう。ヨーグルトとは、乳及び乳酸菌を原料に、そこに大量に存在するブルガリア株とサーモフィルス株の発酵作用で作られたものだ。要するに、発酵乳であり、発酵食品である。ヨーグルトが固まる原理は、乳内の糖を乳酸菌が分解して乳酸を作り出し、その乳酸によって乳が酸性に傾くことで乳内のカゼインという物質が固まるのだそうだ。

 

 ところで、ヨーグルトの起源は7000年も前だろうといわれている。なんでも、牛乳の入った容器に、乳酸菌が偶然入ったのだそうだ。それを見つけた人が、おそるおそる試食してみると味は悪くなかった。腹も痛くならなかった。しかも、保存性がいいこともわかったという。

 

 ヨーグルトは、ヨーロッパからアジアまで広く存在していたらしい。その語源が、両大陸を結ぶトルコの「ヨウルト」という言葉であることからも十分に納得がいく。その語源が撹拌することを意味するそうだから、ヨーグルトの作り方の面からもその正当性が理解できる。

 

 日本で市販されているヨーグルトは実に多彩である。ねばねばしたものから液状のものまで、脂肪分の含まれているものから脂肪ゼロまで、そして付けられた味や香りも多種多様である。腸内環境の維持改善に効果があることは広く知られているが、ウイルスの撲滅に効果があるという話は聞いたことがない。せめてコロナウイルスとの戦いで、強力な応援団として期待したいところだ。

                      (2021年4月14日 藤原吉弘)