3.11のウグイス

f:id:yf-fujiwara:20210311094143j:plain

f:id:yf-fujiwara:20210311094329j:plain

[風を感じ、ときを想う日記](1021)3/11

3.11のウグイス

 

 今年、ウグイスの声を初めて聞いたのは、河津桜を見みるために親水公園に行ったときのことだった。大庭神社の脇を通り過ぎようとしたら、側の森からあの美しい声が聞こえてきた。われわれにはウグイスの初鳴きにあたっていた。もっとも、声が美しいからといって、鳴き方も上手だというわけではもちろんない。

 

 それ以降、たまに自宅でも耳にするようになったが、鳴き方はいずれも今一だった。それが、今朝起き抜けにトイレに行ったら、あの美しい鳴き声が、きれいなメロディーに乗って聞こえてきた。うっかり、そこから出るのも忘れて聞き惚れていた。彼らは彼らなりに、人知れず一生懸命練習を積んできたらしい。

 

 ところで、あの日から10年が経つ。所要のために車で出かけ、帰ってきて車庫に入れようとしたときグラッときた。ちょうど斜めになってバックしているときだった。あの激しい揺れではとても動作を続けることはできない。そのままじっと待っていたが、ずいぶん長く揺れていたように思う。

 

 やっと部屋に入り、テレビを点けてみた。現地の惨状が次々と伝わってくる。そのうち、大きな波が沖合から攻めてきた。すごいな~とは思ったが、まさかあんな厳しい被害をもたらすとは考えてもみなかった。

 

 ウグイスの美しい鳴き声を聞くにつけ、あれは夢だったのだろうかとつい勘違いしてしまう。被災地に、引き続き暖かいエールを送ろう。