コロナ用語集

f:id:yf-fujiwara:20200507130859j:plain

f:id:yf-fujiwara:20200507130939j:plain
[エッセイ 554]
コロナ用語集

 

 コロナ騒動の最中、それに関連する専門用語が、新聞やテレビの間であまりにも無造作に飛び交っている。受とめる側は、ただただ戸惑うばかりである。ついては、これからのためにと、素人なりに“用語集”をまとめてみた。


 まず、その病気を引き起こす「新型コロナウイルス」について考えてみたい。その横文字表記は、novel coronavirusと書かれている。novelは、先例のない、新奇な、目新しい、などを意味する。われわれの感覚ではnewでいいではないかと思うが、あえてnovelを使ったのは特別に目新しいということを強調したいのかもしれない。coronavirusは二つの単語が一つになっているが、ウイルスの形を形容するcoronaは、王冠あるいは太陽の光冠(光環)が元になっている。


 このウイルスが引き起こす感染症が「新型コロナウイルス感染症」である。病名にCOVID-19という記号が使われている。COronaVIrus Disease-2019が元で、大文字部分から引用されている。ちなみに、diseaseは“病気”という意味であり、19は発生した年の西暦年号から引用したものである。


 次に、感染が広がる過程を見てみよう。最初に、「スーパースプレッダー」という言葉が登場する。英語では、super spreaderと表記される。大流行発端の中心人物のことである。spreaderは、広げる人、延展[散布、拡散]機、あるいはバターナイフを意味する。次に登場するのが「クラスター」と呼ばれる集団感染のことである。英語では、clusterと表記され、房[ブドウ、サクランボ、フジなどの]かたまりの花、群れ、集団、などを意味する。これと同じような意味合いで使われるのが「アウトブレイク」である。英語ではoutbreakと表記され、勃発や突発の意味合いをもち、集団発生や感染集団を指している。こうした感染の広がり状態を、小さい方から大きい方に並べてみると、小範囲が「エンデミック(endemic)」、中範囲が「エピデミック(epidemic)」そして世界的広がりが「パンデミック(pandemic)」ということになる。


 最後に、対策について触れてみよう。「ロックダウン(lockdown)」=都市封鎖、「ステイホーム(stay at home)」=自宅待機、「テレワーク(telework)」=自宅就業、「ソーシャルディスタンス(social distancing)」=相互の間合い、そして「テイクアウト(to go又はtake away)」=持ち帰り、などである。検査方法としては、「ポリメラーゼ連鎖反応・PCR(polymerase chain reaction)」=遺伝子増幅検査、重症者の治療には、「エクモ・ECMO(extra corporeal membrane oxygenation)」=体外式膜型人工肺がある。そして最後に、悪夢の「メディカル・カラップス(medical collapse)」=医療崩壊が待ち受けている。


 最後の言葉、医療・・に至らないことを願うばかりである。
                         (2020年5月7日 藤原吉弘)