終活 セカンド・ラウンド

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[エッセイ 553]
終活 セカンド・ラウンド

 

 今日、火曜日は、2週間に1度の雑ゴミ回収の日である。対象のゴミは、小型の不燃ゴミ、商品プラ、それに本や雑紙である。玄関先に出しておくと、市の指定業者が回収してくれる。不燃ゴミは有料の専用袋に入れなければならないが、その他は無償で引き取ってくれる。ちなみに、他の火曜日は衣類や段ボールなどの資源ゴミの回収日で、集積所に置いておくと無償で引き取ってくれる。


 雑ゴミは、2週間前の収集日にも大量に出した。そのときは、書籍中心だった。原則、全部捨てることにして、どうしても取っておきたい辞書・辞典の類いと、旅行のガイドブックを残した。ガイドブックは、旅行アルバムの補足の意味あいが強く、大切な思い出を総合的にカバーできるためだ。


 そして今回は、そのとき整理しきれなかった書籍の残りと、参考資料やパンフレットを雑紙として根こそぎ捨てることにした。さらには、小型の不燃ゴミも洗いざらい捨てることにした。押し入れや戸棚、さらには引き出しで眠っているものを引っ張りだし、これも原則全部捨てることにした。昔流行ったブランドもののバッグや装飾品あるいは筆記用具やライターといったものまであった。


 このところ、不要品買い取り業者が、毎日のようにチラシを折り込んでくる。その“高価買い取り”の宣伝文句に心が動かされないでもなかったが、結局目をつぶって全部有料袋に入れた。そういえば、この巣ごもり期間中に、家の中をきれいに片付けようと考えているのはわが家だけではないはずだ。不用品買い取り業者は、そのあたりを読んでチラシ攻勢に出ているものと思われる。


 実は、先週の火曜日には、現役時代に着用していたスーツの類いをあらかた集積場に持っていった。これらは、虫などに食われないよう、家内が大事に管理していてくれたものだ。しかし、結局それらの努力には報いることができなかった。洋服ダンスには大きな空間が生まれ、お出かけ用に残しておいたスーツ数着と礼服の夏冬各1着がゆったりとぶらさがっているだけである。


 今回の終活は、自身にとってはセカンド・ラウンドに当たる。ファースト・ラウンドは、母の三回忌が終わった直後に取り組んだ大仕事だった。仏壇を今の住まいに運び、空き家となった実家は思い切って取り壊した。跡地には草が生えないように大がかりな処置もした。さらには、先祖代々のお墓も市内の墓地に改葬した。そして、仕上げに、わが家の歴史と自分史を書いた。


 ファースト・ラウンドの終活は、両親から引き継いだ遺産を管理しやすいよう整理整頓した活動だった。それに続く今回のセカンド・ラウンドは、自身から子供や孫に引き継がせる遺産の整理整頓作業と位置づけられる。当然、ファースト・ラウンドの、引き継ぐ側の経験が活かされたことはいうまでもない。


 巣ごもりはまだ当分続けなければなるまい。ご近所でも、同じような整理作業をやっているようだ。ゴミ回収業者の多忙な日々は、まだ当分続きそうだ。
                          (2020年5月5日 藤原吉弘)