閏年

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[エッセイ 542]
閏年

 今年は、閏年であるとともに十二支が先頭に戻って新たなサイクルに入った年でもある。もちろん、待ちにまった東京オリンピックの開催されるオリンピックイヤーでもある。閏年、十二支、そしてオリンピック、この三者が2020年という切りのいい年に出会うことになにか因縁めいたものさえ感じさせられる。


 1年が365日であることはみなよく知っている。ところが、実際の1年の長さは365.2422日で、少しずつずれが出ている。そのずれの調整方法がきちんと決められたのは、つい数百年前のことである。ローマ教皇グレゴリウス13世が、当代を代表する学者を集めて研究委員会を設け、1582年にグレゴリオ暦として制定した。以降、通称西暦として各国で採用されるようになった。


 その暦では、余分な0.2422日の端数調整に、400年に97回の閏年を設けて対応することにしている。閏年の割り当て方には3つの原則がある。
 原則―1、西暦年が4で割リ切れる年は(原則として)閏年
 原則―2、但し、西暦年が100で割り切れる年は(原則として)平年。
 原則―3、但し、西暦年が400で割り切れる年は必ず閏年


 この原則でいくと、西暦1900年=平年、2000年=閏年、2100年=閏年、2200年=平年ということになる。実は、この調整措置をとってもなお、3320年当り1日の誤差が出る。その誤差の影響は微小と考えられるので、対応策は後世に委ねることにしたようだ。但し、ギリシャ正教会の修正ユリウス暦では、上記原則―3をさらに修正することでほぼ決着がついているという。


 十二支が閏年に当たるのは、子年、辰年そして申年の3つに限られる。ただし、そのサイクルのスタートが常に閏年から始まるといっても、両者の関係は単なる偶然でしかない。十二支が12年サイクルであり、4年に一度という閏年のサイクルの倍数にあたるためというだけのことである。


 オリンピックイヤーと閏年につてもその一致は単なる偶然でしかない。第1回のオリンピックギリシャ大会が1896年に開催され、その年がたまたま閏年だったことから、以降どちらも4年サイクルで併走しているだけのことである。それでも、「閏年にはオリンピック、オリンピックの年は閏年」というのは判りやすく覚えやすくていい。


 それにしても、偶然の一致とは面白い。今年のような2020年という切りのいい年に三者がぶつかるというのはめったにあることではない。まして、それが東京オリンピックの年とはおめでたいかぎりである。次にこのような現象が現われるのは2080年、あと60年も待たなければならない。そのときも、東京でまた、3三度目のオリンピックをやってもらうことにしたらどうだろう。
                       (2020年1月5日 藤原吉弘)