市道の雑草対策

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[エッセイ 524]
市道の雑草対策

 私たちの町内を網羅している市道は、元分譲地だったためきれいに整備されている。しかし、その側溝付近は、アスファルトやコンクリートの隙間から雑草が生い茂ろうとしている。こまめに除草をしている人がいる一方、無関心のまま伸び放題になっている場所も多々見られる。住民たちはその対応に手を焼き、できることなら市でまとめて処理してほしいと声を上げている。

 この状況に至る過程について、客観的な観点からまとめてみた。道路と側溝の間、側溝の縁とその蓋の間、さらには蓋同士の間は最初から隙間があり、それをセメントで目止めしてある。しかし、歳月とともに、その接着部分にひび割れができ、風化によって少しずつ大きくなってきた。そして、砂が入り水分が加わって植物が育つ環境が整った。そこに草の種が入り、発芽して育ってきた。

 この隙間は、異なる分子がくっつき合っているだけなので、その密着性には限界がある。同一素材の一体成形や溶接でないかぎり、完全には解決できない課題である。いずれは、太陽光や風雨による劣化で、あるいは寒暖差や凍結による膨張と収縮の繰り返しで、時間の経過とともに隙間は拡大していくはずである。

 そんなことから、隙間を補修してもいずれ近い将来同じ現象を繰り返すのではなかろうか。実例として、町内を流れる川の右岸の補修例をとりあげてみた。かさ上げしたコンクリート護岸と道路の間に隙間が発生し雑草が生えてきた。そのうち、近所の人がその隙間をセメントで埋めた。しかし、ここ1~2年また隙間ができ、さらに広がってそこに大きな草が生えてきている。

 この問題を市のレベル、つまり市道のひび割れを市で全部補修したらどうなるか、自分なりに試算してみた。市道の総延長は1,300km(藤沢市公表)、隙間の総延長は約6,900kmとなる。これは、側溝の道路側の縁の両側×道路の両側+側溝の蓋同士の隙間総延長×道路の両側として積算したものである。ちなみに、蓋は間口が60cm、奥行が40cmである。これを隙間補修材で埋めるとすると、材料費だけで5千万円くらいは優にかかりそうだ。労務費、付帯経費などは試算不能だが、直接材料費の数十倍の費用と年単位の期間が必要と思われる。

 こうして書いている内に、本当に実現できるだろうかと思うようになってきた。市に対策を頼むとすれば、私たちの町だけでいいというわけにはいかないだろう。少なくとも、主なところはその対象にしなければなるまい。その場しのぎの応急対策では、また同じ問題を繰り返すことになる。どうしても、半永久的な対策が求められることになるはずである。費用と手間の絶対的な多寡もそうだが、他の事業との比較や優先順位も当然検討課題となる。

 ここしばらくは、住民一人一人が気配りをするしかないのではなかろうか。
(2019年8月11日)