九月の風

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[風を感じ、ときを想う日記](870)9/28
九月の風

 今月の「ゆうゆう通信」には、巻頭の挨拶として次のような小文を載せた。

 ・・・いま、どこからともなく甘い香りが漂ってきます。そのモクセイは、漢字では木犀と書きます。幹の色や紋様が動物のサイの皮膚に似ているためです。原産地の中国では、その木を桂とも呼ぶそうです。地名の桂林は、桂がたくさんある所という意味だそうです。

 ところが、日本で桂というと、カツラ科の落葉高木のことを指します。ほのかな香りを漂わせることから、この木がそうだろうと「桂」の字を当てたようです。常緑のモクセイが日本に入ってきたのは江戸の初期、漢字と出会ったのはそれより千年以上も前のことです。書物だけの情報から推測しようとすれば、勘違いがあっても不思議ではないしょう。
 
 それはともかく、あのふくよかな香りをゆっくりと優雅に楽しみたいですね。・・・
 
 ところで、このゆうゆう通信は毎月上旬に発行している。その書き出しも、当然その時節に対応した旬の話題を取り上げるよう心がけている。今月については、そのころキンモクセイが咲くだろうと考え、話題の主題として取り上げた。ところが、花は一向に咲くそぶりを見せず、さんざんやきもきさせられた。
 
 そして今日、やっと花は開き、あの素晴らしい香りをふりまきはじめた。担当としては、うれしさより安堵に胸をなで下ろしているというのが実情である。