四月の風

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[風を感じ、ときを想う日記](489)4/21
4月の風

 今月の「ゆうゆう通信」には、巻頭の挨拶として次のような小文を載せた。

 ・・・漁師が魚を追って川を溯っているうちに、渓谷の奥深くにまで迷い込んでしまった。すると、目の前に満開の花に覆われた桃の林が現れた。その先には小さな洞穴があり、そこを通り抜けると前方にはまったく別の世界が出現した。世に言う桃源郷であった。

 村人たちの話によると、彼らの祖先は秦の時代(紀元前221~紀元前206)、乱世から逃れるため、妻子や村の人々とともにこの隔絶された土地にやってきた。そして500年以上もの間、外世界との交流を絶って平和な理想郷を築いてきたのだという。

 中国の陶淵明の書いた「桃花源記」に登場するユートピアです。いま、桃の花は満開を迎えています。こんな夢のような世界を、夢や物語りだけに終わらせたくないですね。・・・
 
 昨年の今頃は、福島県のしだれ桜の古木を愛でて歩いた。北国の遅い春は、桜や桃はもとより、様々な花が一斉に咲き揃う“現世の桃源郷”を目の前に繰り広げて見せてくれた。

 そして今年は、季節の移ろいがことのほか早いようだ。花の種類に違いはあるが、この温暖の地でその百花繚乱現象を楽しませてくれている。フジ、ツツジ、ボタン、レンギョウ、そして足下の名もない花たち。