白内障

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[エッセイ 457]
白内障

 運転免許の更新を前に、必須条件である自動車学校の高齢者講習を受けた。その折の目の検査では、視力は0.6しかなかった。そういえば、最近はメガネをかけてもかけなくても、遠方の見え方には差はほとんどなくなっていた。年齢を重ねて、近視が改善したくらいに思っていたが、どうやら大変な勘違いだったようだ。このままでは、もちろん免許の更新は不可能である。

 さっそく、以前からお付き合いのあるメガネ屋でレンズの交換をしてもらうことにした。そこでさらに詳しい検査をしたところ、片方の視力はレンズだけでは補正しきれないことがわかった。つまり、その方の目は白内障の疑いがあり、眼科で見てもらう必要があるということだったのだ。

 そういえば、私自身にとっても白内障はごく身近な病気である。平素お付き合いいただいているグラウンド・ゴルフの仲間でも、多くの人が手術を経験しており、病院通いの話になると真っ先にそれが飛び出してくる。自分自身の体験談はもとより、仲間内の噂話まで、話が途切れて困るようなことはない。

 白内障とは、目の中にある水晶体が白くまたは黄褐色に濁ってくることである。そのため、ものがかすんで見えるようになる。また黄褐色に濁ってきた場合は、暗いところでとくに見えにくくなるという。
 
 水晶体の濁りの原因は、加齢による場合がほとんどのようだ。50歳代、60歳代、70歳代と進み、80歳代になるとほぼ100パーセント発症するという。どうやら避けて通ることのできない病気のようだ。原因のその他のものとしては、アトピー、糖尿病、放射線、そして薬の副作用などがあるという。

 治療は、手術が唯一の手段のようだ。濁った水晶体を取り除き、その後に人工の水晶体を眼内レンズとして挿入する。局部麻酔で、15分から20分程度ですむそうだ。入院する場合は1日~2日程度、日帰り手術もごく普通のことになりつつあるという。

 仲間内の話でも、あそこの眼科は日帰りでやってくれるが、腕がいいので混み合って順番待ちしなければならないとか、こちらの病院は入院が必要だが比較的早くやってくれるなど評判も様々である。

 私の場合は、メガネのレンズを交換して以来、テレビもよく見えるようになったので、今のところそれほどの不自由は感じていない。運転免許の更新もすんなりとパスしたので、急いで手術する必要ももちろんない。

 ただ、加齢とともに確実に進行し、避けて通ることのできないものだとすれば、いずれ折を見て踏み切ることになるだろう。術後、「こんなに、しわくちゃだらけだったのか」と自分の顔に驚くことになるかもしれない。
(2017年3月4日)