[エッセイ 661] ―ピンピンコロリを究めよう―[その7]
体のメンテナンス
小さな挑戦の積み重ねによって、各部位の細胞はもちろん脳細胞にまでも、わずかずつではあるが生きる力を注ぎ込めてきた。おかげで、老化の進行を少しは抑えることができたようだ。しかし、例えば車がそうであるように、部品の劣化の状態は一つひとつ大きく異なる。自身の体だって同じことで、部位のメンテナンスはその個々の状況に合わせた対応が要求される。
いま、もっとも注力しているのは心臓の安定的な稼働と、腸と膀胱の強化による排泄力の円滑化である。いずれも生命維持に直結した課題であり、いっときも気を許すことはできない。定期的に医師のチェックを受け、投薬もきちんと励行している。なかでも、膀胱の筋肉の強化とメンテナンスには、自身の手による朝夕の定期的な処置と併せ格段の努力を払っている。
次は、視力と聴力の維持、延命化である。目の白濁化は、手術で完全に解決した。一方、視野の一部が欠けてくる緑内障については、点眼薬の投与だけが唯一の抑止策であり、それを欠かすことなく根気よく続けている。聴力については、病と長い間格闘を続けてきたが、ついに断念せざるを得ない結果となった。ただ、耳は2つあり、片方が健在なことから残りを大切に扱っている。
これまでに最重要課題として4つの部位のメンテナンスを紹介してきたが、それに次ぐものとして歯を中心とした口腔内の維持管理がある。実は、30歳代半ばから歯肉炎を患い、当時としては珍しいそれ専用の歯磨薬を使い始めた。完治とはいい切れないが、以来半世紀近く順調に推移している。近年、3カ月毎にチェックしてもらっているが、自身の歯はいまも26本残っている。
参考までに、過去には大いに苦しめられ、今ではほとんど心配のなくなったものを上げてみよう。小麦粉によるアナフィラキシー、ちくのう症、痔瘻、十二指腸潰瘍、アキレス腱炎、腱鞘炎、そして尾骶骨痛といったところだ。反対にいまも苦しめられているものとしては、閃輝暗点、偏頭痛、花粉症、熱中症、そして鼻風邪などが日常生活の上でいまも悩みの種になっている。
自身の生涯を通して、酒があまり飲めなかったことは、いまでは大変しあわせなことだったと思っている。その一方、夕食前のビールはここ40年来欠かせない習慣になっている。ところが、尿酸値が高いため直近の20年あまりはプリン体ゼロのまがい物を愛飲している。悪習といえば、もう一つタバコがある。止めて20年になるが、健康診断ではいまでも前科者のような扱いをされている。
現役を引退して20年。その気になれば、時間はいくらでも作ることができる。せめて体のメンテナンスくらいは時間を十分に割いていきたいと思う。家族の時間を無駄にさせないためにも、これだけはぜひ励行したいものだ。
(2023年6月29日)
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