河津桜と吊るし雛

イメージ 1

イメージ 2

[風を感じ、ときを想う日記](494)3/9
河津桜と吊るし雛

 例年この季節になると、伊豆方面に一泊で旅行することにしている。わが家の、創立記念日を祝ってのことだ。当初は今週の初めを予定していた。ところが、直前になってお天気が大きく崩れそうだとわかった。そこで、ホテルにはインフルエンザにかかったとし、急遽2日間延期することにした。

 今回の旅の目的は、欲張って三つも用意した。一つ目は、河津桜を、河津でなくもっと静かなところで見物しようというもの。二つ目は、太平洋の水平線上に昇る旭日を、大きな浴室でゆったりと眺めてみようというもの。そして三つ目は、吊るし雛を本場でじっくりと見物しようというものだった。

 一つ目は、下田のさらに10キロ先、下賀茂温泉の青野川沿いにそのとっておきの場所はあった。土手に並ぶ800本もの河津桜が、ちょうど見ごろを迎えていた。駐車場はそれなりに混みあっていたのに、広々とした川の土手は貸し切り状態に近かった。おまけに、近くには広大な菜の花畑まで広がっており、地域全体が濃いピンクと明るい黄色に染め分けられていた。

 二つ目は、4年前の素晴らしい体験を、同じ所で同じ時にもう一度味わってみたいと企図したものだ。東に向かって建つホテルの前面には大海原が広がっている。午前6時過ぎ、その水平線の上に真っ赤な太陽が顔を出す。その神々しさは、体験したものだけが味わえる特権である。

 どの客室も同じ方向を向いているが、広い浴室から生まれたままの姿で眺める光景はさらに感動的である。前回は、翌日のブログですぐにそれを発表した(エッセー200―「梅と桜と夕日と朝日」―2008年3月8日付)。しかし、この日は雲にさえぎられ、その絶景を楽しむことはできなかった。

 三つ目の吊るし雛は、いまでは他所でもお目にかかれるが、もとは東伊豆の稲取温泉が本場である。ここでは「雛のつるし飾り」と呼ばれ、観光客向けの展示場も数カ所用意されている。念願かなって、伝統的なお雛さまとともに、吊るし飾りの美しさを堪能することができた。

 それにしても目がかゆい。花粉の最前線に突っ込んでいったのだから仕方ないことかもしれないが・・。