ーピンピンコロリを究めようー        [その6]小さな挑戦の積み重ね

 

[エッセイ 660] ―ピンピンコロリを究めよう―[その6]

小さな挑戦の積み重ね

 

 現役を引退して間もなく、“英会話教室にでも行ってみたら?”という家内のサジェスチョンがあった。市内の社会保険事務所にはいろいろな教室が併設されており、いずれも格安で学ぶことができるようになっていた。退職後は、海外旅行でも楽しみたいと思っていたので即座に入会を決めた。

 

 ある日、その教室の外国人先生が、“なにか英語で書いてきたら添削してあげるよ”といいだした。ちょうど、タイ旅行から帰ってきた直後だったので、それを題材に書いてみることにした。ただ、じかに英語で書くほど勉強はしていないので、一旦日本語で書いてそれを英訳することにした。ちょうど20年前のことだったが、それがエッセーを本格的に書き始めるきっかけとなった。

 

 書き始めたエッセーが20本くらい溜まったころだったろうか、家内は“それが100本になったら本にしてあげるよ”といいだした。私自身、そんなに書けるわけはないと思っていたので、“そのときは頼むよ”といって軽く受け流しておいた。ところが、テーマは次々と見つかり本当に100本に達してしまった。さいわい、出版社にツテがあり、格安で自費出版することができた。

 

 そんな折、友人からインターネットに無料で投稿できる方法があると教えられ、ヤフーのブログに仲間入りすることになった。そのうち、エッセーのほかにその半分のボリュームの、日記風の記事も併せて投稿するようになった。さらには、それらの記事に写真を併載することも始めた。かくして、投稿記事の累計は、昨日現在、エッセー659本、日記風1194本に達した。

 

 そんな経緯から、ブログの投稿に備え、毎日のように近在を歩き回るようになった。もちろん、徘徊などではなく、れっきとしたテーマ探しであり、その取材や検証、そして投稿記事を彩るための写真撮影である。屋外ばかりではなく、図書館や本屋もその延長線上にあった。近隣との関わりが深くなってくると、自治会の活動や各種サークル活動にも首を突っ込むようになった。

 

 こうした活動を通して、人と関わること、自然に親しむこと、さらには物事に興味や関心をもつことが日常のこととして身についてきた。そして、“なぜ”と考えてみる、調べてみるといった挑戦の心構えや行動があたりまえのこととなってきた。足を使う、体を使う、頭を使う、そして心や気を遣うことにもつながり、ストレスなどといったものは別の世界へと追いやられてしまった。

 

 自身の健康は、計画的に作り上げてきたものではなく、こうしたいろいろな活動の結果として後からついてきたようである。いわば小さな挑戦の積み重ねが健康をつくることに繋がってきたのかもしれない。もちろん、体の重要な部位のメンテナンスは、習慣づけて意図的かつきめ細かにやってきたつもりである。

                      (2023年6月26日 藤原吉弘)