運転免許の更新大作戦

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[エッセイ 549]
運転免許の更新大作戦
 
 運転免許の更新は、かつては簡単な手続きですんだ。近所の警察署で、申請書を提出し形どおりの講習を受けるだけだった。それも5年に一度だった。それが、高齢者になると3年に一度になり、自動車学校での適性検査と実技講習が加わった。しかも、一度でよかったものが今度は二度に分けられることになった。


 最近の、高齢運転者に対する風当たりの強さを反映したものだろう。今回の手続きは、自身の身体的なハンデも加わって、それを克服するためにいっそうしんどい思いをすることになった。自分自身にとっては、“運転免許更新大作戦”と呼んでもおかしくないほどの大事業となった。


 まず、本題の更新手続きであるが、前述のとおりかつては一度でよかったものが二度になり、今回は三度に増えた。事前の自動車学校での手続きが二段階に分けられたためだ。一段階目は認知機能の検査だけである。これを通過できて初めて二段階目に進める。その二段階目は、適性検査と実技講習が行われる。


 ところが、自動車学校の予約が混み合っていてなかなかとれない。最初に県の公安委員会から届いた認知機能検査通知は、更新期限の半年以上も前だったのに、二段階目が終わったのは期限一週間前だった。一段階目がOKとなった段階で、すぐ第二段階を予約したのに、4カ月以上も待たされたためだ。そんな事情から、近所の知り合いの間では、更新期日に間に合わなかった人が何人もいた。


 次に、自身の身体的なハンデである視力の矯正だが、これが想定以上に時間と手間とお金をくった。事前の考えでは、眼科医を訪ねて診察を受け、“じゃあ、来週あたりにでも手術をしましょう”となるくらいに軽く考えていた。ところが、エッセー545と546で紹介したとおり、大変な時間と労力を費やすこととなった。初めて訪問して以来、すでに9回も足を運んでいる。


 実は、視力についてはこれだけでは解決しない。白内障手術は、多焦点の高額先進医療は別として、保健医療の場合は焦点が一点に限られる。目から1メートル当りに合わせるのが普通だそうで、私の場合もそれを選択した。したがって、遠くを見るときと、新聞を読むときは遠近両用メガネが必要になる。


 手術後、視力が安定するまで1カ月かかるという。更新期限が迫り、その前に自動車学校の第二段階をクリアしなければならない。メガネの調整は、それらの前になんとしても終えておかなければならない。そして先日、すべてが無事終了した。半年間に亘る運転免許更新大作戦を無事乗り切ることができた。


 それにしても、高齢者にはことのほか厳しいご時世になったものだ。不注意、勘違い、踏み違い、そしてその他操作ミス。高齢者にありがちな課題をしっかりと心にとめ、運転には細心の注意を払いながら慎重に対処していくつもりだ。
                          (2020年3月8日 藤原吉弘)