三月の風

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[風を感じ、ときを想う日記](786)3/9
三月の風

 今月の「ゆうゆう通信」には、巻頭の挨拶として次のような小文を載せた。
 
 ・・・ いま、原っぱでは菜の花が満開です。待ちわびた春の到来を実感させる、あの萌えるような黄色が一面に広がっています。桜などピンク色の花とのコントラストも見事です。よく見ると、むせ返るような温気のなかを、蜂たちが気ぜわしく蜜を集めていました。

 お店の野菜売り場には、その花芽の小さな束が、タラの芽、フキの薹などとともに春を告げる野菜として並べられています。別売りながら、「からし和えの素」が添えられているのが心憎いところです。これらの新芽に共通するのがあの苦みです。一口含んだだけで、新しいエネルギーが全身に満ちあふれ、あらゆる身体機能が冬眠から目覚めてきます。

 さあ、胸を張って大股で野原を闊歩し、五感を動員してからだ全体で春を満喫しましょう。・・・

 菜の花のことを書いていたら、子供の頃のふる里ののんびりとした風景を思い出した。田んぼのあぜにたくさんの菜種が植えられ、黄色い花が今を盛りと咲き誇っている。その脇を、白装束のお遍路さんが数人、なにごとか唱えながらゆっくりと通りすぎっていった。

 わがふる里にも、昔から八十八カ所霊場巡りの簡易版が整備されている。