スカイツリー見物

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[風を感じ、ときを想う日記](660)10/1
スカイツリー見物

 もう40年も前になる。地方への転勤が決まって、あわてて家族を連れて東京見物に出かけた。回ったのは、羽田空港、東京タワー、皇居、そして銀座などの繁華街である。いつでも行けると、手をこまねいていた結果であった。

 町内の自治会の、今年のバス旅行の目玉が東京スカイツリーと聞いたとき、そんな思い出が脳裏をかすめた。今度はそんな轍は踏みたくない。そのタワーがオープンして2年半、訪問のタイミングとしてはちょうどいい頃である。

 実は、この電波塔には建設中に2度ほど見物に訪れている。鉄組みが高い空に向かってぐんぐん伸びていく、その過程に興味をそそられたためである。しかし、出来上がってしまうと、ほっとするとともに半分興味を失ってしまった。

 展望回廊がおすすめと聞き、さらに1030円を奮発して地上450メートルまで上がった。台風一過の快晴のもと、東京の街が眼下に広がっていた。

 足元の、隅田川の向こう側には浅草の観音さまが、その先には上野公園の緑が広がっている。左に目を転じると、東京都心の高層ビル街がはっきりと見てとれる。だが、期待の富士山は、あいにく霞のベールに包まれたままだった。

 タワーの内部から外を見ることばかりに気を取られ、タワーそのものの姿を見ることを忘れていた。外に出て、かつて建設中に賑わった京成橋からその雄姿を眺めた。タワー内部の喧騒をよそに、そのあたりに人影はまばらだった。