有線、無線、どっちがいいの?

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[エッセイ 590]

有線、無線、どっちがいいの?

 

 わが家のインターネットは、いままでNTTの電話回線を使っていた。それを無線LANWi-Fi方式に切り替えることにした。ネットの契約先であるS社のすすめによるものだ。いままで特段の不自由は感じていなかったが、従来の方式は近い将来無くなるというので渋々応じることにした。

 

 一方の固定電話も、それとセットで無線LANに切り替えることにした。しかし、電話回線をNTTに返却し、番号まで変えるとなると、余計な手間と混乱が予想される。そこで、電話回線は“休止”とし、電話番号は手数料を払って従来どおりのものを使わせてもらうことにした。

 

 話がまとまると、Airターミナルというインターネットの無線受信機が届けられた。パソコンを電話回線からその受信機に接続し直すと、ネットやメールはすぐに使えるようになった。実は、インターネットと固定電話の切り替えは二段階に分かれていたので、NTTの電話回線はその時点では電話専用となった。

 

 インターネットの接続切り替えが終わった時点で、あらためて固定電話の新しい契約を結んだ。数日後、Airターミナルを補完する形で使う電話ユニットという小型の機器が届いた。あとは、NTTとの契約変更手続きが終わるのを待って、電話線をNTTの回線からその電話ユニットに繋ぎ変えることになる。

 

 それにしても、電波の送受信方式の変遷には興味が尽きない。かつて、わが町内はテレビの映りが芳しくないことから、組合を作って共同で背の高いテレビ電波受信塔を建てていた。この対応策は送信側にもいえる。超高層ビル群の増加に対処するため、東京タワーよりさらに高い東京スカイツリーが建てられた。

 

 さらに進化したのがテレビの衛星放送である。このシステムには、人々は衛星アンテナで個別に対応していた。しかし、共同アンテナの維持管理に苦労する一方、衛星アンテナも送信側の進化についていけず、結局は有線配信業者に一括で世話になることになった。高さによる対策にも難問がついて回るようだ。

 

 一方の有線による固定電話は、後から出現したインターネットとともに、電線をネット状に張り巡らせてカバーすべき領域を面に近づけていった。そんな状況の中、携帯電話が急送に進化、普及していった。こちらは空白の領域を、全国100万本にも上る簡易アンテナの数でカバーしようとしてきた。

 

 高い空から無線で全域を覆うようにしてきたテレビが有線配信に移り、網の目の細やかさで空白をカバーしようとした有線の固定電話が無線になろうとしている。この先、技術がさらに進歩して、コストや耐久性、さらには使い勝手やセキュリティーの面で進化が進めば、自ずから道は定まってくるであろう。

 

 新たな無線技術が、わが家に新しい風を吹かせてくれることを期待したい。

                      (2021年4月20日 藤原吉弘)