木曜8時のコンサート公開収録

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[エッセイ 375]
木曜8時のコンサート公開収録

 私にとっては、長い間空疎な思いをさせられてきた夜のテレビ番組だが、ここにきてやっとイメージ通りの番組が育ってきた。2年前の秋にスタートしたテレビ東京の「木曜8時のコンサート」である。有名歌手がたくさん出演する伝統的な歌謡番組で、中高年のファンをしっかりと楽しませてくれている。

 この番組は、東京周辺の公共ホールで収録したものを1時間番組として週1回放送している。最近、その収録の模様を一般人も観覧できることを知った。さっそく、応募要領に従って申し込みハガキを送ってみた。何度かチャレンジしたが、入場券が送られてくることはなかった。

 半ばあきらめかけていたところ、ある日ひょっこりと招待状が届いた。神奈川県民ホールで収録される番組だった。出演メンバーには有名歌手の名前がずらりと並んでいる。しかも2時間のスペシャル番組だ。収録は8月1日の午後4時すぎから、放送予定は8月下旬の木曜日午後8時からとなっていた。

 ステージに、人気歌手21名がずらりと並んだ。北島、五木、千、氷川、鳥羽、山川、堀内、八代、大月、伍代などなど、なじみの顔ぶればかりである。これだけまとまった顔ぶれのショーを有料で見ようとすれば、入場料はいったいいくらになるだろう。それはともかく、開演前に観客たちは観覧のマナーや拍手の仕方などをしっかりと仕込まれた。

 ショーは延々と続いた。司会の男女2人は、緊張状態を維持しながらミスもなく番組をどんどん盛り上げていった。それでも、NGは3回あった。歌手の、自分の歌のミスが2回、そしてあと1回は観客がカメラの前を横切ってしまった。「内緒ですよ!」といいながら、その都度初めからやり直しとなった。

 やっと収録が終わった。およそ3時間、出演者や司会者、そしてスタッフも疲れはてたはずだ。そしてなにより、中高年の観客たちもぶっ通しでよく頑張った。行きたかったトイレも我慢して・・。そして、みんな満足した。

 かつて、テレビ東京は「演歌の花道」という人気番組をもっていた。日曜夜10時から放映され、「来週一週間も頑張ろう!」とサラリーマンのお父さんたちを励まし続けた人気番組である。しかし、それも演歌人気の衰退とともに、2000年9月をもって終了となった。

 あれから11年、中高年待望の歌謡番組は、“木8コンサート”として装いも新たに登場した。7月最終木曜日のこの番組の関東地区の視聴率は7.7パーセントと、この一週間の音楽番組の中では4位の高視聴率を確保した。

 私たちが見届けたあの2時間スペシャルは、8月下旬の木曜日に華々しく放映されるはずである。
(2013年8月3日)