プレミアム商品券

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[エッセイ 251](新作)
プレミアム商品券

 「あれ?ここでも使えるんだ!」。この地域では、2軒の商店しか使えないと思っていたプレミアム商品券が、実は近所のスーパーでも使えることがわかった。たしかに、その店には「商品券取扱店」という表示があった。そういえば、他の店にも同様の表示が出ていたような気がする。

 自宅に帰って市の広報紙を点検してみると、商品券を売る店と商品券を使える店は別であることがわかった。そして、「商品券販売所」の方に例の2軒の店名があげられていた。さっそくその販売所の一つであるメガネ店に行ってみた。あいにく、シャッターが下り定休日と書かれていた。

 その足でもう一軒の米店を覗いてみた。「お客さん、あれはアッという間に売り切れましたよ」「あの日、朝早くから店先に行列ができ、一人5万円までとなっていたので、夫婦で来て10万円分買っていったお客さんも沢山いましたよ」

 例の、定額給付金との相乗効果をねらったプレミアム商品券は、私の住んでいる市でも実施されている。市の商工会議所が市内の商店連合会と共同で、市の支援を受け、6月20日から10月末まで実施するものである。地域振興と、小学生以下の子供のいる子育て世帯の支援が主な目的だという。

 プレミアム商品券には、一般世帯むけと子育て世帯むけとがあって、前者には10パーセントの、後者には15パーセントのプレミアムがついている。いずれも500円券が綴りになっており、1冊10,000円で販売された。

 プレミアム分の10または15パーセントは、3パーセント分を商品券取扱店が、残りの7または12パーセント分を市が負担するという。全市で5万冊、5億5千5百万円分発行されたということなので、プレミアムに相当する部分の予算は5千5百万となる。これを、商品券取扱店が1千5百万円、残りの4千万円を市がそれぞれ負担することになる。

 そんな折、家内がメガネをなんとかしたいといいだした。最近、新聞を読むときや繕いものをするとき、いま使っているメガネではちゃんと見えなくなってきたという。そこで、例の商品券販売所にもなっているあのメガネ店に相談してみることにした。ああでもないこうでもないといっているうちに、プレミアム商品券のことに話が及んだ。

 その商品券は売り切れたことになっているが、メガネを買ってくれたお客さんには別に確保しておいたものを提供してくれるという。それを使えば、さらに10%の値引きをしたことになると教えられ唖然とした。みんなが欲しがっているのに、税金を投入しているのに、こんなことが許されていいのだろうか。

 もちろん、新しいメガネは別の店で、現金で買うことにした。
(2009年7月19日)