高血圧症

[エッセイ 675]

高血圧症

 

 秋真っ盛りの頃だった。健康状態になんとなく不安を感じたので、行きつけの内科医に相談してみた。それも、「血圧が高いのではないでしょうか」と、こちらから切り出してのことである。結果は高血圧症と診断された。

 

 実は、若い頃から血圧には自信があった。健康診断の時はもとより、お医者さんでなにかの機会に測定するときも、必ず低すぎるといっていいほどの数値が出た。それがここ数年、そうでもなくなってきた。過日も、歯科医で歯を大きく削る必要があり、事前検査で血圧を測ったら200mgHg近い数値が出た。近所のクリニックでの定期健康診断でも同じような傾向が続いた。

 

 その内科医に言われて自宅で継続的に測ってみることにした。結果は、朝が高く、昼を過ぎるとだんだん下がり、夕方になると正常値に落ち着くというものだった。自覚は全くないが、ひょっとすると長い間そうだったのかもしれない。

 

 そもそも、高血圧症とはどんなレベルをいうのだろう。一般的には、高い方が140mgHg以上、低い方が90mgHg以上をいうそうだ。加齢や生活習慣によって血管が弾力性を失ってくると、どうしても血液の流れが悪くなる。その流れを維持しようとすると、血流の圧力を上げる必要がある。圧力を上げると、血管の内壁が傷ついて血管内が狭くなるという障害が出てくるのだそうだ。

 

 こうした高血圧症の行く末は、各部位でいろいろな合併症を引き起こす。脳で血管が裂けると、「脳出血」、詰まると「脳梗塞」となる。眼に障害が起ると、「眼底出血」を経て視力低下や失明にまで至る。腎臓で起ると、腎機能が低下し最悪透析が必要なレベルまで悪化することもある。もしそれが心臓で起ったら、「狭心症」や「心筋梗塞」になる心配があり、最悪、死に至ることもあるという。

 

 なんでこうした状態に陥るのだろう。大きな原因は、加齢のほか生活習慣によるところが大きいそうだ。それを加速させるのが、肥満、ストレス、運動不足、喫煙、過度の飲酒、そして塩分の取り過ぎだそうだ。とくに日本人は、塩分の取り過ぎが大きな原因だと古くからいわれている。

 

 そこで、食生活の注意点をまとめてみた。塩分摂取は1日6グラムまでに留める。カリウムは十分にとる。動物性食品と植物性食品をバランスよく摂る。そして、エネルギーとアルコールの取り過ぎには十分に気を配ること。

 

 血圧の投薬を初めて2カ月あまり、朝夕の測定数値は基準内に治まるようになってきた。ただ、投薬はあくまでも対症療法であって根本的な治療にはなり得ない。一方、高齢になると、どうしても運動不足になりがちである。身体的なハンデを考慮しながらも、とにかく運動がすべての対策の原点である。私自身も、これからも積極的に外に出かけるよう心がける積もりである。

                     (2023年12月25日 藤原吉弘)