近場の紅葉見物

[風を感じ、ときを想う日記](1220)12/10

近場の紅葉見物

 

 紅葉見物には、例年それなりの名所に出かけていた。遠くへ行けないときでも、県内の名所にはなんとか足を運ぶようにしていた。大山の大山阿夫利神社下社とか、箱根の箱根美術館庭園とか・・。ところが、コロナ騒動の明けた今秋は、いろいろな行事が重なって、とうとうその機会を逸してしまった。

 

 そんな残念な思いを胸に外を眺めていたら、立木一本で溜まった無念さもあっという間に溶け出してしまった。なにもわざわざ名所に行かなくても、近所に出かけたついでに、目に映った紅葉を楽しんでくればいいではないかと。そう、わが家の庭にだってモミジくらいは植わっているのだから・・。

 

 そのわが家の庭にある貧相なモミジでも、小春日和の暖かな日射しのもとではそれなりに見応えがある。とくに、逆光に透けて見える朱色は、単に赤という単語では表現しきれない。まさに深みのある紅であり、その色がキラキラと輝いて、私たちの心を浮きたたせてくれるのだから。

 

 そんな光景は、ご近所の塀越しにでも、いくらでも楽しむことができる。そしてその圧巻は、町内の公園に林立する紅葉葉楓(モミジバフウ)である。あの巨木を仰ぎ見れば、近場での紅葉狩りの総仕上げとなるはずである。

 

 量より質とはよくいったものだ。落葉樹の森や林はもちろん見応えがあるが、一本だけのモミジも私たちの心を十分に浮き立たせてくれる。