今年のザルギク

[風を感じ、ときを想う日記](1219)11/24

今年のザルギク

 

 毎年、この時期になると、近在のザルギク畑を見物させてもらうことにしている。2~3百坪はあろうかという広い畑に、南北に畝がつくられ、その尾根にそって赤、黄のザルギクがきれいに並べて植えられている。一株だけでも見事なのに、それが幾筋も、しかも色のコントラストを際立たせながら並んでいる。見事というほか、その美しさを形容する言葉は見当たらない。

 

 今年も、胸をわくわくさせながらその畑に向かった。しかし、そこで足がパタと止まった。いつもとまったく様子が違っていたのだ。たしかに、ザルギクの花の列はいままでどおり並んでいた。しかし、その列と列の間は、土ではなく緑の野菜がならんでいた。いままでは、黒っぽい土に花の列を引き立たせる効果があったが、今度は緑色の葉っぱがライバルのように立ちはだかっていたのだ。

 

 たしかに、ここは住宅街のど真ん中、しかも高台の東南の角地に当たる。そんな一等地を、ザルギクのためだけに利用するのはいかにももったいない話ではある。よくぞこれまで長年続けてくれたものだと、持ち主に対してありがたい気持ちでいっぱいである。不満など言えた義理ではもちろんないのだ。

 

 野菜が畝の間に植えられるようになったので多少の違和感はある。それでも、これからもザルギクを作り続けてもらえるのなら、とにかくそれで十分である。今後とも、あの美しいザルギク畑が続いていくことを期待してやまない。