お盆は8月に定着?

[風を感じ、ときを想う日記](1198)7/16

お盆は8月に定着?

 

 わが家のあたりは新興住宅街だが、周辺には昔からの農家が点在している。その家々では、7月中旬になるとお盆の飾り付けが門先に置かれていた。ところが、ここ数年、この時期になっても見かけられなくなった。当事者に直接聞いたことはないが、この辺りでもその催しは8月に移行させたのではなかろうか。

 

 かつて住んでいた東京都内では、ほとんどの家が7月にお盆の行事を行っていた。しかし、都内を離れてすでに半世紀、その間この時期に住宅街を訪れたことは一度もないので最近の状況はわからない。それでも、ひょっとすると様子は一変しているのかもしれない。最近では、7月にお盆の行事が行われたというニュースは、新聞やテレビからはまったく伝わってこなくなった。

 

 文化はもとより生活習慣のほとんどは、近世に入って以来、東京から地方へと流れていくのが一般的になっている。ところが、このお盆の行事に関するかぎりその流れは逆になっている。おそらく、夏休みとお盆の帰省という大きな流れが、お盆は8月という習慣を定着させていったのではなかろうか。

 

 もともと、お盆は旧暦の7月中旬だった。それを新暦に置き換えれば、多少の前後はあっても、やはり8月の方が本来の趣旨に添っているようにみえる。お盆には、迎え火や送り火はもちろん、その期間中も“火”は重要な役割を担っている。それらの火も、梅雨の最中より晴れ上がった夏の夜空がよく似合うはずだ。