中秋の名月

[風を感じ、ときを想う日記](1138)9/11

中秋の名月

 

 沈む日と入れ替わるように、中秋の名月が東の空に現われた。雲一つない深い闇の中に、金色に輝くまん丸い月がぽっかりと浮かんでいる。月は、高く上るにつれ、その色を金色から銀色へ、そして透き通った白へと変えていった。月と、それを眺める者との間にある大気の厚さに比例してのことだろう。

 

 今年は、夏の終わりごろからすっきりと晴れ渡った日はほとんどない。快晴などまったく記憶にない。直近の週間天気予報も、主体は曇りで、大きな雲の脇にちいさな傘マークがつくか、お日様がちょっと顔を出すかくらいである。この日も、そんな状況でそれほど期待はできないだろうと思っていた。

 

 それがどうだろう。昨日の午後になると、空からだんだん雲が消え快晴へと変っていった。月が出始めるころには、それを邪魔する物は何一つ見当たらなくなっていた。せっかくの名月で、雨戸を閉め切るのももったいない。そう思って、床につく直前まで部屋に月光を取り入れることにしたほどだ。

 

 神さまのお計らいだろうか。これほど澄み切った夜空に浮かんだ名月を楽しむのは、ずいぶん久し振りのように思う。ススキを添え物にして写真を撮ろうとしたが、今年は時期が早すぎてかなわなかった。代わりに、月にちょっとだけ雲のかかった場面をと思ったが、昨夜の状態ではそれも叶わなかった。

 

 それでも、おかげで昨夜はいい夢を見せてもらうことができた。

 

注)写真上:午後7時ごろの月。

    下:午後8時半ごろの姿。