お盆


[風を感じ、ときを想う日記](1131)8/16

お盆

 

 わが家では、お盆の墓参りは8月13日に行うことにしていた。ところが、この日は台風が関東地方を直撃すると予報されていた。なにもそんな日に出かけることもない。せっかくお供えした花だってすぐ吹き飛ばされてしまうだろう。そんなことから1日後ろにずらしたが、他の墓参客もこの日に集中し、市営墓地は超混雑になってしまった。2軒ある臨時の生花店など大繁盛だった。

 

 ところで、お盆になると、キュウリやナスに足をつけたお飾りが登場する。これは、ご先祖様が利用される馬や牛の乗り物に見立てたものだ。ご先祖様が自宅に帰られるときは足の速いキュウリの馬に乗って急いで帰ってきてもらおう。そして、あちらにお戻りになるときは足の遅いナスの牛でゆっくりと帰ってもらおうという、現世に生きる者の気持ちを表わしたものだそうだ。

 

 そのキュウリやナスのお飾りが、近所の古い農家でも8月に見られるようになった。従来は、地方出身者より1ヵ月早く飾られ多少の違和感があったが、この月遅れのお盆もやっと全国的に定着してきたようだ。

 

 それにしても、現世に帰られるときは台風に見舞われ、あちらに戻られるときは酷暑の真っただ中になってしまった。浮き世では大変ご苦労され、せっかく楽しみにされていた年一度の里帰りにも難渋されるようでは、現世に残る者の心も痛い。ご先祖様の無事のご帰還を切に祈りたい。