野花三態

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f:id:yf-fujiwara:20220324141302j:plain[風を感じ、ときを想う日記](1103)3/24

野花三態

 

 今日は朝からきれいに晴れ上がり、昨日の寒さがうそのような快適な陽気となった。そんな春爛漫の、穏やかな日和に誘われて近在を散歩してみることにした。その道すがら、野に咲く花たちとのさまざまな出会いがあった。

 

 その代表は、なんといっても白い山桜である。もとゴルフ場のあった一角に、手つかずの自然林がある。そこに繁る雑木に混じって、一本だけ白い花をいっぱいにつけた木がある。ソメイヨシノやカワズザクラのような派手さはないが、緑色の小さな葉っぱとともに白い花をいっぱいに付けた名もない山桜である。

 

 その白いサクラからさほど遠くない荒れ地にタンポポが花を付けていた。根元からぎざぎざの葉っぱを周囲に広げ、その中央から数本のストローを上向きに伸ばしている。その先端には黄色い美しい花が一輪ずつ咲いている。早春から花を付け始め、いまが盛りと我が世の春を謳歌しているようだ。

 

 そしてもう一つ、かつては畑だったと思われる荒れ地の一角に、チューリップが花を付け始めている。純粋な野の花ではないが、何十年も人の手の入っていない野っ原なので、すっかり野に馴染み野生化した風情を醸し出している。

 

 花を愛する人たちが丹念に育てた花は、褒める言葉も見当たらないほどきれいである。一方野に咲く花々も、その造形美においては前者に劣るとしても、その生命力の強さに裏打ちされた野生の美しさで人を引きつけて止まない。