ハゼモミジ

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[風を感じ、ときを想う日記](1081)12/17

ハゼモミジ

 

 いま、ハゼの木の葉っぱがきれいに色づき、私たちの目を楽しませてくれている。日本の秋を彩るカエデがあらかた散り、半歩後ろからやってきた黄色いイチョウも、足下に黄金色の絨毯を残して終盤を迎えようとしている。きれいに色づいた葉っぱをまとったまま、唯一年を越せるのがハゼの木である。昔の人は、その美しい色合いにハゼモミジという愛称まで付けて愛したという。

 

 秋に、小さな実を鈴なりに付けるのはハゼの木のメスのようだ。この実からは蝋がとれることから、ローソクの材料として遠い昔から作付けされてきた。先日、アメリカでローソク工場が竜巻によって全壊したというニュースが伝わってきた。この工場の材料は、あるいは別のものかもしれない、しかし、ローソクと聞いただけで事故の痛ましさが急に身近なものに感じられるようになってきた。

 

 そのハゼの木の兄貴格にあたるのがウルシの木である。こちらは、その樹脂が漆塗りの材料としていまも珍重されている。いわば、兄弟揃って日本の伝統文化をしっかりと下支えしてきたわけである。

 

 子供のころ、ハゼの木に触って手や足をかぶれさせてしまったことが何度もある。そのせいで、ハゼの木を見かけると、いまでも反射的に身を引いてしまう。それでも、故郷に帰ったときはもちろん、近在でその木に出会ったときも、ハゼの木にはいつも格別の親しみを感じてしまう。