[風を感じ、ときを想う日記](1074)11/12
皇帝ダリア
今日は、朝からきれいに晴れ上がり、一面抜けるような青空が広がっていた。その透明の空間で、薄紫色の皇帝ダリアが大きな八弁の花を揺らしていた。さっそく写真に撮ろうと思い、カメラを持ってその足下までやってきた。しかし、あいにくの強風で、ノッポの花の撮影にはかなり厳しい条件となった。なんといっても、建物の二階まで届こうというほど背の高い花である。
花のついているてっぺん付近は左右に大きく揺れている。おまけに、花が高いところにあるため、ズーム機能の助けを借りないと立派な花もちっぽけなものにしか映らない。花が揺れ、体が揺れて手元も振れる。ズームがそれを増幅させる。折悪しく、足場は車道の端に当たり、そばを車が頻繁に行き交う。ファインダーの構図など定まりようのない大変な撮影会となってしまった。
私がその皇帝ダリアの存在に気づいたのは平成の半ばごろだった。あるいは、どこかで密かに咲いていたのかもしれない。しかし、そんな話は聞いたことがないので、昭和の時代にはわが国にはまだ存在しなかったと考えるのが妥当なのではなかろうか。それでも、いつの間にか日本に馴染み、花の少ない晩秋から初冬にかけてみんなを楽しませてくれる貴重な存在になっている。
この季節の太平洋側は、抜けるような青空が続く。その高い空を背景に、これからも日本の初冬を彩り続けてもらいたいものだ。