[風を感じ、ときを想う日記](1071)11/2
穏やかな晩秋
今日は、風もなく日射しもやわらかで、ことのほか穏やかな一日だった。こんな日は、できるだけ自然に親しむべきだろうと考えた。しかし、車でわざわざ遠くまで出かけるほどのことでもない。そこで、普段よりはちょっぴりがんばって、引地川まで足を伸ばしてみることにした。
川の流れはゆるやかで、カモのつがいが岩の上でのんびりと日光浴を楽しんでいた。そんな穏やかな雰囲気の中にただ一羽、白いサギだけが緊張した面持ちでジッと水面を見つめていた。黒い鯉は群れをなして泳いでいるが、サギの獲物になるような小魚が、はたしてこの辺りにもいるのだろうか。
公園として整備された土手の一角に、ちょっとしたため池が設えてある。水深は極めて浅く、もっぱらカエルの住みかとなっているようだ。池の周りには葦が茂り、水面を覆い尽くそうとしている。その葦と棲み分けるように背を伸ばしている茅は、白い尾花をいっぱいに付けてゆったりとそよ風に揺れている。ひょっとして、白秋とはこんな光景をいうのだろうか。
そして、しっかりと手入れされた芝の広場では、お母さんに連れられた幼い子供たちが賑やかに駆け回っていた。もう少し経つと、この賑わいに下校後の小学生が加わるのかもしれない。東京のコロナ感染者は一桁台にまで下がったというが、ここには最初からそんなものは存在しなかったといった雰囲気である。