メジロの去った"跡"

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[風を感じ、ときを想う日記](978)7/28

メジロの去った"跡"

 

 あれだけ頻繁に出入りしていた二羽のメジロが、7月25日を最後にぱたっといなくなってしまった。寄りつく気配すらまったくない。

 

 雛が孵り、子育てをしていたのなら、それなりに賑やかな声がしていたはずである。スズメやツバメの子育てを間近に見てきた経験から、子育てなど静かにできるはずがないからだ。親が餌を運んでくると、雛たちは大声で自身の存在をアピールし、少しでも多くを自分にもらおうと競うのだ。

 

 さらに、子育てをすれば、巣の下は相当汚れるはずである。糞はもとより、餌の切れ端や抜けた羽などが散乱する。場合によっては、雛が孵ったときの卵の殻が落ちていても不思議ではない。今回、そういった物が一切見当たらない。とにかく、先週の土曜日を最後に、なにもなかったような雰囲気である。

 

 留守になって3日が経った今日、脚立を組み、そのてっぺんに立って巣の近くを覗いてみた。巣は、こちらの頭からさらに1メートル以上上方にあるが、気配が全くなくなっていることだけは確認できた。

 

 剪定バサミを取り出し、背伸びしながら巣の付いている小枝を切り落とした。初めて、その巣の中を見ることができた。きれいに編み上げられたテニスボールほどの巣にはなにも入っていなかった。雛が割って出たはずの卵の殻さえも。この巣の中で、1ヵ月近くの間なにが営まれていたというのだろう。