二宮のハナショウブ

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[風を感じ、ときを想う日記](968)6/4

二宮のハナショウブ


 6月の声を聞いたとたん、ハナショウブのことが気になりだした。ここ数年は、二宮せせらぎ公園にその花を目当てに出かけている。昨日、念のためにと町役場に電話してみた。担当の係からは、「昨日、現場に行ってみたら五分咲き程度でした」との返事をいただいた。もちろん、昼間の入場は自由とのことだった。


 朝のうちは曇りだったが、そのうち晴れてくるだろうと信じて出かけてみた。花はすでに満開に近かった。その色は多種多様で、紫と白を基調にして大半が両者の中間にある。一種類だけ黄色い種類がまとまって植えられ、そのあたりだけ谷間に異彩を放っていた。花はすべての種類が見ごろを迎えていた。


 見分けのつきにくい花の代表例として、“いずれアヤメかカキツバタ”という諺がある。乾地に咲くアヤメが先で、湿地に生えるカキツバタが後だ。生える場所や咲く時期のほかにも細かい違いはあるが、いずれも5月のうちにはあらかた終わっている。これから旬を迎えるのが、湿地に咲くハナショウブである。


 そんなわけで、二宮町の谷地に育てられたハナショウブはこれからが見ごろである。三方を、緑の低い山に囲まれたこの場所は、涼やかな風も通り抜け、湿地に咲く花を愛でるには最適の場所である。谷地ということもあって、ここはホタルでも有名だが、今年はコロナが心配で見学会は中止だそうだ。


 今年も、緑あふれる田園風景を、紫の花とともに存分に楽しませてもらった。