八十八夜

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[風を感じ、ときを想う日記](962)5/1

八十八夜


 今日、5月1日は八十八夜に当たる。あれ!明日じゃなかったの?と思ったが、暦にはちゃんとそう書いてある。そうか、今年は2月が29日まであったので、暦の上では1日繰り上がったことになるのだ。5月5日の子供の日には立夏を迎えることから、春は今日を入れてもあと4日しか残っていないことになる。


 元号が代わって丸1年、令和も満1歳になった。その5月、皐とも呼ばれ、一年でもっとも快適な月である。ツツジやサツキが咲き乱れる一方、新緑はいよいよ濃くなってくる。頬を撫でるそよ風は親しみを込めてわざわざ薫風と呼ばれ、晴れ渡った空も特別に五月晴れと名付けられている。


 ところで、農作物に被害をもたらす霜は「八十八夜の別れ霜」といわれるように、だいたいこのころまでのようだ。春になって芽を出したお茶の葉は、この半月の間にしっかりとコクを蓄え、おねえさんたちの摘み取りを待つ。霜の被害を免れた新茶は、このころ摘み取られたものがもっとも上等なのだそうだ。


 その一方、「九十九夜の泣き霜」という言葉も残されている。泣いても泣ききれないほどの大きな遅霜の被害が発生することがあり、5月半ばごろまで安心は禁物ということのようだ。また、温帯低気圧が台風なみに発達して大きな被害をもたらす「メイストーム」という大嵐が襲ってくることもある。


 五月晴れに泳ぐ鯉のぼりに見とれてばかりはいられないのかもしれない。