二月の風

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[風を感じ、ときを想う日記](891)2/11
二月の風

 今月の「ゆうゆう通信」には、巻頭の挨拶として次のような小文を載せた。

 ・・・雪の中にひっそりと咲く椿、その風情と茶道のわびが共鳴したのでしょうか、ツバキは室町時代の後半あたりから、茶席の大切な脇役をつとめるようになりました。椿は、「カメリア・ジャポニカ」という学名が示すように、日本が原産です。

 では、あの有名な歌劇「椿姫」とはどうつながるのでしょう。やはり室町のころ、来日した宣教師がそれを持ち帰り、ヨーロッパでツバキブームがおこったことが背景にあるようです。

 時代は下り、1848年にデュマ・フィスによってその悲恋物語は書かれました。4年後に作者自身の手で戯曲化され、それをヴェルディが歌劇に仕立てあげたのだそうです。

 椿は春を呼ぶ花といわれています。彼女らを愛でながら、元気に春を待ちたいですね。・・・

 ところで、小説の題名は「La Dame aux Camelias(椿の花の貴婦人)」だが、それをもとにしたオペラの題名は、その内容から「La Traviata(道を踏みはずした女 or 堕落した女)」となっている。しかし、これではちょっと、ということだろうか、日本でのオペラの題名は小説をもとに「椿姫」となっている。

 なお、前奏曲はコンチネンタルタンゴの名曲「ヴィオレッタに献げし歌」に編曲されており、第一幕の最初に登場する歌はあの「乾杯の歌」である。


(参考)
[オペラ「椿姫」 解説とあらすじ] クラシック音楽評論家 出谷 啓 著

 このオペラはフランス種で、デュマ・フィスの小説が原作になっている。

 原題の「トラヴィータ」は、「道を踏みはずした女」という意味で、ゼッフィレルリ監督の映画は原題のままで公開された。これはヒロインのヴィオレッタの職業から付けられたタイトルと考えていいだろう。

 ヴィオレッタは高級娼婦のドミ・モンドで、花のパリで贅沢三昧の生活を送っていたが、アルフレードという純朴な青年を知り、真剣に恋をして一緒に生活するようになる。だが、アルフレードの父ジェルモンは、ヴィオレッタに、家の名誉と妹の結婚のために別れてくれと頼む。

 ヴィオレッタは生木を裂かれるような思いでアルフレードと別れ、ある男爵の情婦になる。事情を知らないアルフレードは、ヴィオレッタの変心を怒り、公衆の面前で彼女をなじって苦しめた末、長期の外国旅行に出る。

 その間、結核にかかっていたヴィオレッタは、容体を急速に悪化させ、貧しい生活の中で、ジェルモンとアルフレードの悔恨を耳にしながら死んでいく。