双眼をふさがれた日光紅葉狩り

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[エッセイ 380]
双眼をふさがれた日光紅葉狩り

 週の初めの2日間、日光方面を反時計回りにドライブした。もちろん、その最大の目的は、いろは坂中禅寺湖あたりの紅葉見物である。普段より1時間ばかり早起きして、薄曇りのなか、東北自動車道を北に向けて走った。

 最初に訪れたのは、世界文化遺産日光東照宮である。その絢爛豪華な佇まいと、40年ぶりの再会を果たすことができた。しかし、日光観光の目玉であるはずの陽明門は、あいにく修復工事中だった。すでに報道で承知はしていたが、残念であることになんの変りもない。

 次に訪れたのは、東照宮の両隣にある日光二荒山神社と日光山輪王寺である。東照宮は大変な賑わいだったのに、こちらの社寺は閑散としていた。とくに輪王寺は、大本堂である三仏堂を修復中で、巨大な覆いにすっぽりと覆われていて、その美しい姿は壁に描かれた絵で拝見するしかなかった。

 二日目は、豊かな自然とそこに映える紅葉を堪能することにした。最初に、宿泊地の川治温泉に近い龍王峡に立ち寄り、その渓谷と虹見の滝と呼ばれる小ぶりの滝を見物した。車は、東照宮を右手に見ながら第二いろは坂へと入っていった。いろはのカーブを曲がるたびに、霧が少しずつ濃くなっていった。

 目指していた明智平近辺には濃霧が立ち込め、ロープウェイの運行は中止されていた。せっかく、展望台からの華厳の滝中禅寺湖の眺望を楽しもうと思って来たのに、またここでも残念な思いをせざるを得なかった。その中禅寺湖まで行きつくと、霧は晴れ太陽も顔を出してきた。湖畔に車を止め、湖面に映る紅葉を心行くまで堪能した。

 車は、さらに龍頭の滝、戦場ヶ原、湯ノ湖そして湯滝と進み、金精峠へとむかった。頂上のトンネルを抜けると、それまでの錦の景色は白樺の林へと一変した。最後に立ち寄ったのは、吹割ノ滝である。東洋のナイアガラという異名もつけられた豪快な滝であった。これで、予定の観光はすべて終わった。沼田から関越自動車道に乗り、圏央道経由で家路を急いだ。

 今回の観光ルートは反時計回りがベターである。しかし、当初の天気予報では、初日がよくてだんだん下り坂に向かうといわれていた。自然の風景を楽しむには晴れていた方が好都合なので、その時点では時計回りに進めるつもりだった。しかし、予報は直前になって両日とも曇り時々晴れへと変った。
 
 急遽、都合のいい反時計回りに変更したわけだが、実際には明智平からの滝の眺望は断念せざるを得なかった。五滝見物のつもりが、目玉抜きの四滝になってしまった。紅葉見物という大きな目的は達せられたが、陽明門と華厳の滝という日光観光最大の目玉は両方とも塞がれたままになってしまった。
(2013年10月24日)

写真 上:唐門
    下:龍頭の滝